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J新卒の年俸上限460万円は適正か?
流経大・小池裕太の例から考える。
posted2018/09/29 17:00
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Reiko Iijima/JUFA Kanto
年俸上限460万円。いまのJリーグで果たして適正なのか――。
Jリーガーの初年度の年俸は、Jリーグ規約・規程集で厳しく制限されている。
プロ契約はA、B、Cのランク順に分けられており、原則的にプロ1年目はC契約を結ぶことが義務付けられ、基本報酬は年額460万円以下。規定の試合出場字間数などをクリアし、初年度にA契約に移行しても上限は年額670万円。
例外的にA契約でスタートする場合も年額670万円以下。アマチュア時代に日本代表としてAマッチ、五輪、五輪予選、アジア競技大会、U-20ワールドカップ、またはJクラブの特別指定選手として一定以上の試合に出場した場合のみ、A契約の締結が認められている。
規定の出場時間数などの詳細は割愛するが、基本給以外に支払われる成果給の出場、勝利プレミアムに関しても上限があり、ルーキーが1年目に手にする報酬は制限される。「超高校級」と騒がれたり、「大学ナンバーワン」などの形容詞のつく選手たちであっても例外はない。
日本のプロ野球でよく聞く契約金も、Jリーグにはない。それに相当するのは支度金で、上限は独身者が380万円、配偶者のみの妻帯者は400万円、同居扶養家族有りの場合は500万円。
有望な新人選手に当たり前のように「契約金1億円」が提示されるプロ野球とは大きく異なる。
年俸高騰を抑えるための制度だった。
新人の年俸制限に関する規約ができたのは1999年。時の日本経済は不景気に見舞われ、同年には横浜フリューゲルスが親会社の業績不振により、消滅する事態も起きた。Jリーグ関係者らによると、その反省を踏まえ、Jクラブの強化責任者らを交えて話し合い、クラブ経営の安定化を図るためにつくられたという。
当時は大卒1年目のトップ選手に年俸2000万円から3000万円が提示されることもあり、クラブ経営を圧迫する要因の1つになっていた。のちのちの年俸の高騰を「入り口」から抑える狙いがあった。