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左打ち偏重は日本野球の“病”か。
藤原恭大、根尾昂のU18も同傾向。

posted2018/09/11 07:00

 
左打ち偏重は日本野球の“病”か。藤原恭大、根尾昂のU18も同傾向。<Number Web> photograph by Kyodo News

(左から)藤原恭大、根尾昂、中川卓也の大阪桐蔭トリオ。すべて左打者だ。

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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Kyodo News

 U18アジア選手権1次ラウンド第3戦の韓国戦、スーパーラウンドの台湾戦で日本は以下のようなスターティングメンバーで試合に臨んだ。

<韓国戦> 
(遊)*小園海斗
(二)奈良間大己
(三)*中川卓也
(中)*藤原恭大
(右)*根尾昂
(一)*野尻幸輝
(左)*蛭間拓哉
(捕)小泉航平
(指)日置航
(投)吉田輝星

<台湾戦>
(中)*藤原
(遊)*小園
(右)*根尾
(一)*野尻
(三)*中川
(左)*蛭間
(二)奈良間
(捕)小泉
(指)日置
(投)柿木蓮

 名前横に付けた「*」は左打ちの印だ。

 スタメン以外ではキャッチャーの根来龍真も左打ちで、野尻を含む全野手11人のうち7人が左打ちだった。これを見ればライバルの韓国、台湾が先発に左腕を持ってくるのは容易に予想がつく。

 案の定、韓国はキム・ギフン、台湾はワン・イェンチェンという左腕を先発に起用し、日本チームは低めの変化球とコーナーを突くストレートを交えた緩急を打ちあぐみ、ともに1-3というロースコアで敗退した。

 台湾は“台湾の大谷”の異名を取る右腕のリ・チェンシュンが先発すると思ったが左腕のワンだった。日本には左腕をぶつければ大丈夫、最速155キロのエース・リは韓国戦にぶつけて必勝を期す、どうもそんな狙いが伝わってくるのだ。正直、なめられたと思った。

日本野球の“病気”である。

 左打者をスタメンに多く並べる、というのはもはや日本野球の“病気”と言ってもいい。優勝した第1回WBCの決勝、第2回WBCの決勝、準決勝のスタメンも紹介しよう。

<第1回決勝>
(遊)*川崎宗則
(二)△西岡剛(両打ち)
(右)*イチロー
(指)*松中信彦
(左)多村仁
(捕)里崎智也
(一)*小笠原道大
(三)今江敏晃
(中)*青木宣親

<第2回決勝>
(右)*イチロー
(遊)中島裕之
(中)*青木宣親
(捕)城島健司
(一)*小笠原道大
(左)内川聖一
(指)栗原健太
(二)*岩村明憲
(三)片岡易之

<第2回準決勝>
(右)*イチロー
(遊) 中島裕之
(左)*青木宣親
(指)*稲葉篤紀
(一)*小笠原道大
(中)*福留孝介
(捕) 城島健司
(二)*岩村明憲
(三)*川﨑宗則

 スタメンに左打者を多く並べる「日本野球の定型」が第1、2回WBCによってもたらされたことがわかる。第2回大会は決勝こそ4人に押さえているが準決勝のアメリカ戦では7人の左打者をスタメンに並べた。左打者の優位性を信じ、代表メンバーに左打者を多く送り込んでいたことがわかる。

 確かに左偏重打線で連覇はしたが、両大会とも韓国の奉重根(ポン・ジュングン)に何度も苦杯を舐めることになり、緩急を操る左腕にこの陣容では弱いことは証明されていた。

 今回のU18アジア選手権の左打ちが並ぶ野手の選定を見て、WBCの教訓が生かされていないことを知り非常に残念だった。

【次ページ】 “変態的打線”の責任は筆者にも?

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小園海斗
奈良間大己
中川卓也
藤原恭大
根尾昂
野尻幸輝
蛭間拓哉
小泉航平
日置航
吉田輝星

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