“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
左打ち偏重は日本野球の“病”か。
藤原恭大、根尾昂のU18も同傾向。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2018/09/11 07:00
(左から)藤原恭大、根尾昂、中川卓也の大阪桐蔭トリオ。すべて左打者だ。
“変態的打線”の責任は筆者にも?
ストップウォッチ片手に野球を取材し続けてきた過去16年間。折に触れ打者走者の各塁到達タイムを紹介してきて、左打者が一塁への走塁にある程度有利なことは伝え続けてきた。そういう意味では、スタメンに左打者を6人以上並べる“変態的打線”を生んだ責任の一端は私にもありそうだが、野手で最も大切なのは当然ながら「打つ」ことである。
「打撃7割、走塁・守備3割」――それくらいの構成比で私は野手の全体像を捉えている。
しかし、今回の野手の選定を見ると「打撃4割、走塁・守備6割」くらいで打撃が軽視されているように思える。
確かに一塁ベースに速く到達するには左打席に立つほうが有利で、右打者とは0.2~0.3秒くらいの差がある。そのため左打者を6人以上並べるのが常態化している。たとえば、東都大学秋季リーグ戦の開幕戦では、各大学がスタメンに左打者を6人並べていた。
左偏重打線の弊害はこんなところにも。
その東都大学リーグは近年、全国大会でなかなか結果を出せていない。
今年の大学選手権では優勝候補に挙げられていた東洋大が九州産業大の左腕、岩田将貴(2年)に7回3失点に抑えられ、コールド負けを喫しているが、スタメンに並んだ左打者は秋季リーグ開幕戦より1人多い7人。対する九州産業大は4人だった。
こういう左偏重打線の弊害を憂いながら、U18アジア選手権で日本代表チームはもっと右打者を選べなかったのだろうかと思った。
何と言っても春夏連覇を果たした大阪桐蔭は、投打二刀流の根尾がショートを守るときは右5、左4が多く、根尾が投手でも右4、左5でバランスが取れていたのだ。
強豪校としての素材のよさばかりでなく、左右のバランスのよさにももっと目を向けるべきである。