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日本ハンド界から続々海外武者修行へ。
東京五輪への強化策は進んでいるか?
posted2018/07/03 16:30
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
2020東京オリンピックへ向け、ダグル・シグルドソン監督のもと、ハンドボール男子日本代表が新たなスタートを切って1年半が経過した。
初陣となった'17年7月には、強豪・韓国に対して一歩も引かない戦いを繰り広げ、28-28。過去55戦で13勝2分40敗のライバルに引き分け、上々の船出となった。
しかし、上位4チームに与えられる世界選手権(2019年にドイツ、デンマークで開催)の切符が争われた今年1月のアジア選手権では6位に沈み、いったんは世界への道が閉ざされた(その後、ワイルドカードの推薦枠で出場が決定)。
5週間にわたるトレーニングキャンプの締めくくりとなった6月29~30日には国際親善試合が行われ、男子日本代表はリオデジャネイロ五輪7位のブラジルと対戦。2日目の試合では、一時は5点の大量リードを奪いながらも、残り8分からの連続失点で逆転され29-31。前日の31-32に続き、惜敗となった。
これでドイツ、韓国、ブラジルと続いた6月の5連戦で全敗。果たして強化は順調に進んでいるのだろうか――。
今一番大事なのは経験を積むこと。
そんな不安な声も、指揮官は悲観的に捉えていない。
「心配はしていません。我々は正しい方向に向かって進んでいると思いますし、良い関係を作れている。それに、6月に対戦した相手はすべて強い国でした。
何よりも今、我々の選手にとって大切なことは経験を積むことで、1つの過程だと捉えています。我々のチームは若い選手も多く、すごくポジティブに考えています。これからさらに日々成長していけるでしょう」
かねてより、シグルドソン監督は国際舞台での経験不足を指摘していた。その経験不足を埋めるべく、就任以来、欧州での長期合宿や強豪国との対戦を実現するなど、選手たちに世界トップレベルを経験させている途中なのである。
結果という目に見える形での成果は決して満足のいくものではないが、「今は少し我慢しなければいけない時期」と焦りはない。指揮官には、一歩ずつ着実に前進しているという手応えがある。