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西野朗監督に今一番大事なこととは?
トルシエが伝えた最後のアドバイス。 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byMutsu Kawamori/AFLO

posted2018/05/23 11:30

西野朗監督に今一番大事なこととは?トルシエが伝えた最後のアドバイス。<Number Web> photograph by Mutsu Kawamori/AFLO

4月29日、リーガ・エスパニョーラのヘタフェを視察した時の西野朗・日本代表監督。東奔西走……短い時間ながら出来うる限り多くの選手を見て回っている。

「五輪代表も、U-20やU-17も伸びてはいないのでは?」

――ではたとえヴァイッドが続けていたとしても、同じことだったのでしょうか。

「変わらなかっただろう。西野監督に代わったことで、精神面でチームは強くはなるだろう。一体感が強まるのも間違いない」

――あなたの分析は極めて客観的だと思いますが、もしも日本がグループリーグを突破できなかったら、日本サッカーにとって次のワールドカップまでの4年間は人気も含めさらに厳しいものになります。

「代表と言ってもA代表ばかりではない。五輪代表も停滞し、U-20やU-17も伸びてはいないのではないか? 私としては、今こそ日本全体が覚醒すべきときなのだと思っているが……。

 日本は国全体としても経済の停滞に直面している。出生率も低下し、老人の比率が増え人口構成もいびつになっている。日本経済が活況を呈し、誰もが日本製品を買い求めた時代は完全に過ぎ去った。人々の目は今は中国に向いている。日本はこれまでとは異なるビジョンを抱き、よりオープンになり外にもっと目を向けるべき時代を迎えている。それが今の世界の中の日本だ。

 だが、残念ながら例えば日本の育成の現状を見たときに……。

 私は今も日本人選手の素質は世界最高だと思っている。個の技術的な部分を育てるという意味では、日本の育成部門は今も世界で優れている方だと言っていい。しかしサッカー全体におけるコレクティブな面については、まだまだ育成の段階でやるべきことが非常に多く残っていると言わざるを得ない」

「『相手を破壊すること』ができていない」

――これまで何度か出てきた“コレクティブ”というのは、より具体的にはどういうことを言うのでしょうか。“ディシプリン”のようなことですか?

「いや、どうやってひとつのプレースタイルを実践するか、どうやって行動するか……という、もっと基本的なものだ。日本の若年層の選手たちは、個としては世界最高レベルにあるが、彼らはただプレーするだけでゲームをコントロールできていないし、『相手を破壊すること』ができていない。彼らが追求しているのは、勝つために優れたプレーをして相手を上回ることだけだ。しかし『相手を破壊すること』も、勝つための戦略として厳然として存在するのだ」

【次ページ】 「ローマはバルセロナのプレーを『破壊』した」

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