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長谷部誠が実践、ハメス封じの術。
ボールを持たせず脆さを引き出せ。
posted2018/05/24 10:30
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
Getty Images
日本代表の支柱、長谷部誠がシーズンの最後に大仕事をやってのけた。
5月19日に行われた、ドイツカップ決勝。首都ベルリンを舞台に相対したのは、長谷部が所属するフランクフルトと、絶対王者バイエルン。フランクフルトの指揮官、コバチ監督が来季からバイエルンを率いることがシーズン中に発表されたこともあり、因縁めいた注目の一戦となった。
そこでフランクフルトは戦前の予想を覆す、劇的な勝利を飾った。
バイエルンと言えば、ロシアW杯を戦う日本にとっても無視できないチームだ。なぜなら、グループリーグで対戦する3カ国のうち、2カ国のエースが在籍しているからである。第3戦目に当たるポーランドのストライカー、ロベルト・レバンドフスキ。そして最重要試合と言える初戦コロンビアのエース、ハメス・ロドリゲスである。
フリーにすれば世界No.1クラスだが。
長谷部は試合終盤、そのハメスから見事にボールを奪い、そこからチームはカウンターを発動。試合の趨勢を分ける決勝点の起点となってみせた。また本職のボランチとして、さらには今季の基本ポジションだった3バックの中央と、両方の位置で奮闘した。柔軟なプレーぶりは、現在の彼の好調ぶりを示すとともに、本大会を控え時間のない西野ジャパンの戦い方に、ヒントを与えるような活躍だった。
「(ハメスは)フリーにすれば世界でも1、2位を争う素晴らしいプレーをする。ただ、ウィークポイントもある」
直近の試合で戦った肌感覚はまだ真新しい。そこで勝利を飾った長谷部だからこそわかる、相手の危険さと、隙である。
確かにパスセンス、得点能力と類まれな攻撃タレントであることは、どこよりも日本が一番痛感している。
4年前のブラジルW杯、グループリーグ第3戦。得点を重ね勝利するしかない日本に対して、コロンビアは主力数人を温存。1-1で迎えた後半から、満を持してハメスを投入すると、攻め急ぐ日本の背後を鋭く突いて追加点。1対1の局面で彼の勢いを止めることは最後までできなかった。