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西野朗監督に今一番大事なこととは?
トルシエが伝えた最後のアドバイス。
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byMutsu Kawamori/AFLO
posted2018/05/23 11:30
4月29日、リーガ・エスパニョーラのヘタフェを視察した時の西野朗・日本代表監督。東奔西走……短い時間ながら出来うる限り多くの選手を見て回っている。
「コロンビアとセネガルは全ての点で日本を上回る」
「だがエキスパートとしての私の見解は、それ(メンタル)だけでは不十分と言わざるを得ない。
日本に関してはペシミストにならざるを得ない。
抽選の結果同じグループに入ったコロンビアとセネガルは、日本よりも優れている。理論上はそうだ。もちろんサッカーは理論で決まるものではないが。ただパーソナリティーや個の力、コレクティビティ、決定力等々を考えたときに、日本が最初の2試合を戦うコロンビアとセネガルは、すべての点で日本を上回っている。日本にほとんど期待はできない。
たしかに日本が驚きを与えるのは不可能ではないだろう。西野監督が失われた自信を回復させられるのも間違いないと思う。選手も生き生きとプレーできるかもしれない。
そういう意味では、メンタルコンディションは回復できると確信しているが……技術的・戦術的に日本は劣っていると言わざるを得ない」
「日本サッカーはここ数年進歩していない」
「その点に関しては、この3~4年間、日本がずっと埋められずにいたままだと感じるし、欠落したままだと思う。
日本サッカーはここ数年進歩していない。
進歩したのは、選手がヨーロッパに行ったという事実だけだ。
ヨーロッパで経験を積んで、ひとりひとりがよりオープンになり、より抜け目なくプレーできるようになった。しかし戦術面では、日本は多くを失ったように思える。
日本の現在の強さはチームそのものによるのではなく、ヨーロッパに移籍した選手たちが個人的にチームにもたらしたものだと思う。コレクティブな面から日本を見たときに、そのいくつかの欠落はとても大きいと言わざるを得ない。
ワールドカップについてはとてもペシミストで、日本がグループリーグを突破するとは思えない。私は同じことをヴァイッドにも言った」