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開幕直前センバツ有力校を大分析。
大阪桐蔭と東海大相模に次ぐ存在は?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2018/03/21 17:00
近年の高校野球を引っ張る存在の大阪桐蔭。彼らを打ち破る高校は現れるのか。
2強撃破を狙える5校の名前は……。
この2強の足をどこがすくうか。それが今大会の最大のみものと言っていい。その実力を持つのは静岡、東邦、智弁和歌山、明徳義塾、創成館の5校だろう。静岡は1番村松開人(3年)、2番齋藤來音(さいとう・らいね/2年)、3番黒岩陽介(3年)、4番成瀬和人(3年)の上位打線に力があり、勝ち上がれば3回戦で東海大相模と激突する可能性がある。
東邦は東海大会決勝で静岡に5-6で敗れている。だが常葉菊川を10-6、三重を10-9で破るなど得点力が高い。東海大会では石川昂弥(2年)の2本を筆頭に3試合で4本塁打を放った。そして公式戦の本塁打数は参加校中ナンバーワンの23本。2位の東海大相模の13本を大きく引き離しており、長打力では抜けている。
初戦の花巻東戦をはじめ、勝ち上がれば3回戦で慶応、準々決勝で大阪桐蔭と対戦する可能性があり、有力校の中では最も過酷なブロックに入っている。最速146キロの本格派、扇谷莉(3年)の制球力が上位進出のカギを握っている。
智弁和歌山は強敵が少ないブロックに。
智弁和歌山は前評判だけでみれば、強敵の少ないブロックに入った。強力打線は例年同様で、近畿大会では履正社を12-8、法隆寺国際を11-4、乙訓を5-4で打ち崩している。
履正社戦で満塁ホームランを放った冨田泰生(3年)、1年時から強打が評判の文元洸成(3年)、林晃汰(3年)や下級生の黒川史陽(くろかわ・ふみや/2年)がスカウトの注目を集めているが、昨年夏の甲子園大会2回戦、大阪桐蔭戦でストレートが140キロを計測した平田龍輝(3年)が本格化すれば一気にトップまで駆け抜ける力がある。
明徳義塾は初戦の中央学院戦が最大の難関になりそうだ。秋の関東大会を制覇した中央学院のエース大谷拓海(3年)には立ち上がりの制球難という課題がある。明徳義塾はどこまでストライク・ボールを見極められるか、選球眼が勝負を分けていきそうだ。
キーマンとなりそうなのは投手の市川悠太(3年)、打者では秋は6番打者だった谷合悠斗(3年)。市川は明治神宮大会準決勝で強打の静岡を5安打、3失点に抑えている。このとき威力を発揮したのが大きく横に変化するスライダーで、右打者が5人揃う中央学院戦でも生かされそうだ。