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甲子園の勝利数番付、センバツ編。
愛知と四国が春にやたらと強い理由。

posted2018/03/22 16:30

 
甲子園の勝利数番付、センバツ編。愛知と四国が春にやたらと強い理由。<Number Web> photograph by Ko Hiroo

夏は潰し合いになってしまう同県の強豪が揃って出られるのもセンバツの特徴。それを反映した数字になっている。

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Ko Hiroo

 今、大阪の街には、ぷーんと甘いびんつけ油のにおいが漂っている。大相撲春場所の最中だからだ。

 相撲が終わると、今度は甲子園で「選抜」が始まっている。人々が相撲の噂、高校野球の噂をし始めると、関西に春がやってくるのだ。

 これまで甲子園で高校野球を見たことがない人には、私は「春の甲子園」をお勧めしたい。

 私は1大会で必ず1日、4試合行われる日に足を運ぶが、夏の甲子園は混むうえに、すさまじい暑さに耐えなければならない。日陰を探し、何度も水分補給をし、ようやく甲子園の環境になれたと思ったら、4試合が終わってしまう。終わるころには「サバイバル」という言葉が脳裏に浮かんでくる。

 それに比べれば春の甲子園は天国だ。肌寒い日もあるが、コートをもっていけばよろしい。日が差せば、ぽかぽかとして、ついビール売りのお姉ちゃんに「一杯ちょうだい」などと言いたくなる。

 高校野球は1試合2時間ほどで終わる。そのテンポの良さもあって、4試合見ても疲れない。アルプススタンドの応援を聞く余裕もできるし、まことに楽しい。

春は愛知と四国がやたらに強い。

 昨年夏、私は「甲子園番付」を作った。これ、春の甲子園だけで作ったらどうなるだろうと思った。夏と大して変わらないのなら、これで原稿を1本書くのは難しいかなと思ったが、さにあらず。夏や春夏通算と比べても、大きく違っているのだ。

 で、春場所番付を作った。昨年の番付同様、東海、北陸以東を「東」に、それより西を「西」にした。ご覧いただきたい。校名の色付きは、今大会の出場校だ。

 端的に言えば、春は「愛知と四国がやたらに強い」のだ。

 春夏の県別の勝率ランキング。引き分け除く。

<春の甲子園>

1 愛知県 166勝109敗 勝率.604
2 高知県 89勝59敗 勝率.601
3 神奈川県 73勝49敗 勝率.598
3 徳島県 73勝49敗 勝率.598
5 大阪府 198勝135敗 勝率.595

<夏の甲子園>

1 大阪府 166勝87敗 勝率.656
2 愛媛県 117勝66敗 勝率.639
3 神奈川県 123勝71敗 勝率.634
4 広島県 119勝74敗 勝率.617
5 和歌山県 120勝77敗 勝率.609

【次ページ】 夏は大阪が圧倒的なのに春はなぜ?

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