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韓国に1敗をつけた日本の戦い方。
女子カーリング、“電撃戦”対策は?
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![生島淳](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/7/4/-/img_746f83dd4814ce9e272d231112e07dfb3376.jpg)
生島淳Jun Ikushima
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2018/02/23 11:50
![韓国に1敗をつけた日本の戦い方。女子カーリング、“電撃戦”対策は?<Number Web> photograph by Naoya Sanuki/JMPA](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/c/700/img_6cd7d59bf6be1c65299a4ed70121f3a491489.jpg)
韓国との準決勝、勝負の最後を決めるのはスキップ藤澤五月の一投になるはずだ。
藤澤五月にイージーショットを投げさせる。
しかし2月15日の試合で、日本は中盤までは耐える試合運びだったが、後半に入って韓国にプレッシャーを与えることに成功した。それが相手のミスを誘い出したのである。
韓国の電撃作戦に抗するためには、第5エンドまでにセカンドの鈴木夕湖(ゆうみ)、そしてサードの吉田知那美がショット精度を高め、相手の理想とする陣形を作らせないことだ。
相手の形になりそうであれば、テイクアウトで壊す。
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ヒット・アンド・ロールの局面では、相手に先んじてガードストーンの裏に隠れる。
シンプルに、先手を取りたい。
そうすれば、スキップ藤澤五月の仕事も楽になる。準決勝では藤澤のスーパーショットは要らない。
藤澤がイージーなショットを決められるよう、リードからサードまでの3人がお膳立てをしなければならない。
第5エンド終了時点で、同点であれば上出来と見ていい。リードしているとなれば……韓国にとっては今回のオリンピックで未体験の領域となる。
勝負に影響するリンクのコンディション。
前半をしのげば、日本には自ずとチャンスが生まれてくるはずだ。
第6エンド以降については、できるだけ韓国のスキップにドローを投げさせたい。
カーリングには大別して「ヒット」と「ドロー」というふたつの系統のショットがあるが、個人的な経験で言うと、ヒットは目標となるストーンがあるため、ミスが起きる確率が低くなる。
一方、ドローはピンポイントでストーンを狙った場所に置かなければならない。たとえば、相手が3点の形を作っていたとしても、ドローでナンバーワンストーンを作れば、相手に3点与えることなく、1点を取る形でしのぐことができる。
ただし、ヒットよりもドローを求められる時の方が、はるかに重圧を感じる。
韓国も、予選リーグの日本戦ではドローでミスが起きた。
韓国だけではない。男子準決勝のカナダ対アメリカ戦ではドロー系のショットで信じられないミスが見受けられた。関係者の話では、江陵カーリングセンターは建物自体が古く、外気温などの気象条件がアイスの状態に影響を及ぼしているという。
つまり、ドローがむずかしいアイス・コンディションになっているというわけだ。