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小平奈緒がオランダ修行で得たもの。
「競技者としては、もっと……」
posted2018/02/24 08:00
text by
藤田孝夫Takao Fujita
photograph by
Takao Fujita
メダルが視野に入っていたはずの、自身2度目の五輪。
しかし、世界は想像以上の速さで進化していた。
目標とした大舞台で打ちのめされてなお、
なぜ彼女は新たな地へと旅立つ決意をしたのか。
新天地での生活から、彼女が得たものとは――。
平昌五輪スピードスケート女子500mで金メダル、
1000mで銀メダルを獲得した小平奈緒。
飛躍の地となったオランダでの日々を追った
Number863号(2014年10月16日発売)の記事を全文掲載します!
しかし、世界は想像以上の速さで進化していた。
目標とした大舞台で打ちのめされてなお、
なぜ彼女は新たな地へと旅立つ決意をしたのか。
新天地での生活から、彼女が得たものとは――。
平昌五輪スピードスケート女子500mで金メダル、
1000mで銀メダルを獲得した小平奈緒。
飛躍の地となったオランダでの日々を追った
Number863号(2014年10月16日発売)の記事を全文掲載します!
9月中旬のオランダ。アムステルダム到着時の気温は15度。スキポール空港の駅から電車に飛び乗り東に約1時間、エルメロという小さな町に向かう。
「小平奈緒は今、どんな日常を送っているのだろう」
冬が来る前に、話を聞いておきたかった。駅から約30分、小径のどんぐりを踏みつけながら、グーグルマップを頼りにやっとの思いで合宿先のホテルに辿り着く。少し早めに待ち合わせ場所に行ったつもりが、彼女は既に待機していてくれた。
「よろしくお願いします」
彼女の今がいかに充実しているかは、最初の笑顔が雄弁に語っていた。自然で、明るくて、柔らかい。
ソチでのオランダ勢に衝撃を受けて。
2014年2月のソチ五輪、オランダの大活躍は、スピードスケート界に衝撃を与えた。全12種目中で8個の金メダル。メダル総数は23個。表彰台独占は4種目に及んだ。
特に男子500mでの表彰台独占は、日本チームにとっては衝撃だった。かつては長距離王国だったオランダが、いよいよ短距離まで凌駕したのだ。
「ソチであんなにオランダが活躍するとは想像していませんでした。私がここに来てる理由もそこだと思われがちなんですけど……」
もちろんスケートで強くなりたいというのが第一義だとしても、彼女にはオランダを求めた別の理由もあった。
「もともとオランダのスケートには興味がありました。生活とスケートが繋がっている感じを、日本には無いスケートというものを感じてみたかったんです」