オフサイド・トリップBACK NUMBER
ポジショナルプレー、これが決定版。
グアルディオラに直接聞いてみた。
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byGetty Images
posted2018/02/18 08:00
戦術家としても偉大なグアルディオラだが、それを説明する能力を兼ね備えていることも指導者の重要な資質なのだ。
チームが苦しい時もフィロソフィーを。
ペップは先月のリバプール戦の後、こんな発言もしている。
「どんな監督にとっても、一番難しいのは自分がやろうとしていることを選手たちに納得させることだ。納得させやすい選手もいれば、そうではない選手もいるし、試合に勝てなければ、選手たちはシステムが機能していないのではないかと不安になる。だからチームが苦しい状況にある時でも、フィロソフィーを堅持しなければならない。
どんな戦術的なシステムでも、機能させるためには時間とコミットメントが必要になる。だからこそグラウンドでのトレーニングの時間は本当に貴重なものになる。選手たちはシステムを習得すればするほど、システムを信頼し、もっと自然にシステムを機能させることができるようになっていく」
複雑ではないが、精緻な考え方。
ポジショナルプレーという考え方は、決して複雑ではないが実に精緻で、現代サッカー論の到達点の1つになっている。
また監督の分析能力やビジョンだけでなく、選手の育成や戦術的な理解度、チームづくりの在り方といったテーマにまで深く関わる奥深いものだ。
建設的な議論を、誰にでもわかりやすい形で広く展開していければ、日本サッカー界全体の底上げにつながるのは間違いない。サッカーについて語ったり、考えたりする作業も、もっと楽しくて味わいのあるものになる。ポジショナルプレーとは、僕たちサッカーファンのポジショニング(サッカーを見る際の立ち位置)も磨いてくれる、素敵なマテリアルなのである。