オフサイド・トリップBACK NUMBER
ポジショナルプレー、これが決定版。
グアルディオラに直接聞いてみた。
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byGetty Images
posted2018/02/18 08:00
戦術家としても偉大なグアルディオラだが、それを説明する能力を兼ね備えていることも指導者の重要な資質なのだ。
ペップ「攻撃している時も、守っている時も」
言葉を換えればポジショナルプレーとは、特定の戦術を指すのではなく、戦術を根底で支えるポジショニングといった意味合いに近い。だからこそペップが率いるチームは、ポジショナルプレーを基盤に、さまざまなシステムを使いこなせるのである。
またポジショナルプレーは、守備でも攻撃でも必要になる。現にペップは、最初の質問に対して、こう付け加えるのを忘れなかった。
「ポジショナルプレーという発想は、自分たちがボールを持って攻撃している時でも、逆に相手に攻撃されている時でも当てはまる。
ポゼッションを失った時には、選手たちはすぐにボールを奪いかえすために、正しいポジションを取らなければならない。すぐにボールを奪い返せない場合には、カウンターアタックを受けないために、やはり正しい位置につく必要がある」
ペップのコメントは、守備か攻撃かという発想自体が時代遅れになりつつあることを示している。
守備と攻撃を表裏で捉えるアプローチは2002年頃から顕著になり、コレクティブ・カウンターや5秒ルール、ゲーゲンプレスなど、様々な形を取って進化してきた。
これに伴って、ポジショナルプレーの方法論も、守備でも攻撃でも優位性を確保するものに進化し、さらに精緻化されてきた。
ピッチ上にある3つの「優位性」。
ちなみにポジショナルプレーの議論では、ピッチ上には3種類の「優位性」があるとされる。
いわゆる「数的な優位」、「質的な優位:選手のクオリティがもたらすアドバンテージ」、そして「位置的な優位性:ポジショニングの組み合わせがもたらす効果」だ。
この点については、他の日本人ジャーナリストの方々がすでに解説されているので、細かな説明を繰り返すのは避けようと思う。かわりに今回は、3種類の優位性にまつわる「トリック」について触れてみたい。
ポジショナルプレーに関しては、欧米でも多くの指導者が解説を試みてきた。スコットランド出身のキーラン・スミスもその1人である。彼は精力的に情報を発信し、ポジショナルプレーの有用性を説いてきた。