オフサイド・トリップBACK NUMBER
ポジショナルプレー、これが決定版。
グアルディオラに直接聞いてみた。
posted2018/02/18 08:00
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph by
Getty Images
「ポジショナルプレーという単語を最近よく聞くんですが、あれは一体何物ですか? 記事や本を読んでも、今ひとつわからなくて……」
最近、こんな質問を受けることが多い。
たしかに「ポジショナルプレー」というフレーズは、難解に響く。考え方自体は昔から存在していたが、日本では使われてこなかったし、「戦術」や「ポジショニング」との違いもわかりにくい。
ポジショナルプレーとは何か。
自分なりに定義すれば、「攻守を問わずにピッチ上で優位性を創りだすために、戦術システムと選手の配置、組み合わせ方を考えた上で、監督が選手たちに実践させるプレーや細かなポジション取り、基本的なノウハウの集合体」となる。
さらに補足するなら「監督が自らの理念に基づいて」という前書きや、「これまでの戦術的なアプローチが、さらに進化し、精緻化されたもの」と締めくくってもいい。
もちろんこれはあくまでも総論だし、まだイメージがつかみにくいと感じられる方もいると思う。
ならば、次のような説明ではいかがだろう?
「ピッチ上のどこにボールがあるかを踏まえて、選手たちが正しいポジショニングをしていこうとする考え方。これを実践してシステムを機能させるためには、ディシプリンと思考能力の速さが必要になる」
グアルディオラに直接聞いてみた。
ちなみにこれは、ペップ・グアルディオラによる最新の定義だ。
今回、私はイングランドの同僚、『サンデー・ミラー』紙で健筆を振るうサイモン・マロックに取材協力を依頼。2月9日に行われた記者会見の最後に、ペップ本人に解説してもらうことに成功した。
ペップが平易な言葉で解説してくれたのは、質問自体がきわめてストレートな内容だったことも幸いしたに違いない。こちらが投げかけた最初の問いは、以下のようなものだ。
――ポジショナルプレーとは、一体どのようなものなのでしょう? あなたは、どう定義されますか?
それに対する回答が、上述の定義だったのだ。
「ポジショナルプレー」はもともと、チェスの世界で知られるようになった概念だ。
伝説的なプレイヤー、アロン・ニムゾヴィッチの『マイ・システム』は、ポジショナルプレーを解説した古典として名高い。
ボードゲームに詳しく、サッカーもお好きな方の中には、「チェスや将棋で言うところの駒の動かし方」、「短期的な駒を取った取られたではなく、盤上のどのエリアをどうやって支配して、長期的にチェックメイトや王手まで持っていくかというセオリーの話だな」とピンと来られた方も多いのではいか。