セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
長友のいないサンシーロは寂しい。
インテリスタが嘆くユートとの別れ。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/02/07 11:00
あっという間にチームに溶け込み、キャプテンマークを巻き、長友佑都は走り続けた。インテリスタは彼を決して忘れないだろう。
インテルはサイドバックを補強し続けた。
夏と冬には必ずといっていいほど、自らのポジションを脅かすライバルが次々にやってきた。
長友以降に加わったインテルのサイドバックをざっと挙げてみる。
'11-'12年 ジョナタン(サントス)、フアン・ジェズス(インテルナシオナル)
'12-'13年 ペレイラ(ポルト)
'13-'14年 ダンブロージオ(トリノ)
'14-'15年 ドド(ローマ)
'15-'16年 モントーヤ(バルセロナ)、テレス(ガラタサライ)
'16-'17年 アンサルディ(ジェノア)
'17-'18年 カンセロ(バレンシア)、ダウベルト(ニース)
※()内は前所属先
チームが芳しくない順位に終わる毎に、識者や現地メディアは「サイドバックが補強ポイントだ」と声高に叫び、クラブは大枚はたいて新戦力を買い集めた。
とりわけ南米王者ウルグアイ代表として鳴り物入りでやってきたペレイラや、チーム刷新を目論んだ指揮官マンチーニが獲得させたモントーヤとテレスへの期待は相当なもので、長友が抱いた危機感も大きかったはずだ。
移籍金額と実績、フィジカルや経験で上回るライバルが毎年やってくる、そのプレッシャーたるや想像もつかない。ようやくレギュラーをつかんだと思っても、決して安堵することは許されない。
出入りの激しいFWならいざ知らず、これほど厳しいポジション争いを7年もの間強いられてきた日本人DFは、長友をおいておそらくいないだろう。
最後には皆、長友に走り負け、蹴落とされた。
だが、彼はいつだって「それがビッグクラブの宿命でしょ」と事も無げに言った。笑顔とともに。
シーズンの初めこそ先発に名を並べたライバルたちは、最後には皆、長友に献身性で劣り、走り負け、蹴落とされた。相手のサイドアタッカーへしつこく食らいつき、封じきってしまう密着マークは、長友以外誰にもできなかった。
モントーヤはたった半年でスペインへ出戻り、テレスも後ろ盾だったマンチーニの解任とともに1年でインテルを去る羽目になった。1年半いたペレイラは、今プレーしているパラグアイでずいぶんと肉付きが良くなっている。