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名監督だけど気分は「友達」!?
箱根4連覇目指す青学・原監督の心。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byAFLO
posted2018/01/01 09:00
チャラチャラして見えるようでいて、裏では誰よりも努力しているのが……青学イズム。
女子マネージャーの意識を一変させた質問とは?
優れた指導者は、強化のポイントとして、必ずこう言う。それは、選手に「やらせる」のではなく、選手自らが「やる」ように促すことだ、と。
そこへ行くと、青学は、典型的な後者だ。
就任当時のこんなエピソードがある。ある日の練習後、5人の女子マネージャーが原に寮に呼び出され、こう問いただされたという。
「うちは男子の部活なので、女子は選手にはなれない。ほぼ毎日、練習に出てきている状況ではキャンパスライフも楽しめない。それでも女子マネージャーをやりたい理由は何なんだ?」
当時のある元女子マネージャーは、原の言わんとしていることを、こうくみ取った。
「遠回しに『本当にやる気あるのか?』って言いたかったんでしょうね。選手とキャッキャ話しているように見えたのかな。遊んでいるように見えたんでしょうね」
以降、女子マネージャーの取り組む態度は一変したという。
おそらく、凡庸な指導者ならば「やる気がないなら帰れ!」と、つい一喝し、結果的に部員の反発を招く……という場面ではなかろうか。
「僕が入ったときの4年生と監督の仲は最悪でした」
原は、ことあるごとに「企業におけるマネージャーは管理職なんだから、女子マネが選手を注意するぐらいじゃないとダメなんだ」と言い、負の要素になりかねなかった女子マネージャーをチームにとって欠かせない存在へと引き上げたのだ。
もちろん、部員と衝突したことも数知れない。箱根駅伝の常連校になりつつあった就任9年目の'12年に入部した神野大地の証言だ。
「僕が入ったときの4年生と監督の仲は最悪でした。突然、食堂でケンカになったり。4年生は監督の言うことに疑問を感じながらやっていた」