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名監督だけど気分は「友達」!?
箱根4連覇目指す青学・原監督の心。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byAFLO
posted2018/01/01 09:00
チャラチャラして見えるようでいて、裏では誰よりも努力しているのが……青学イズム。
「黄金世代」のOBに原監督の印象を聞くと……。
神野は2015年、3年生のときに山登り区間の5区を任され、区間新を更新。「三代目山の神」と呼ばれ、初優勝の最大の功労者といってもいい選手だ。
神野らの代は、青学の最初の「黄金世代」。
そんな実力者ぞろいの1年生からすると、「監督、ぜんぜん正しいこと言ってんじゃん」と思わずにいられなかったという。
「僕ら1年生は、みんな速いジョグをしていた。それが自然とできていたんです。でも4年生はジョグを疲労抜きだと捉えていた。だから、監督は『ジョグは疲労抜きじゃなくて、1年生みたいにもっといいジョグをしろ』と言っていた。それに対し、4年生は反発していたんです。僕らの代は、監督に対して疑問を持ったことは一度もないと思いますよ。敷かれたレールの上に、自らの意志で乗っていた4年間でしたね」
こう言わせたら、指導者の「勝ち」である。
どことなく「情けない男」キャラの原監督。
練習中の原は、神野が「練習中ふざけていたら、ただのおっさんじゃないですか」というように、ピリッとしている。ただ、テレビ等で観る原は、民放の人気女子アナに「ススムって呼ばれたい。ドキドキしませんか」と言うなど、どこか「情けない男」キャラである。
しかし、選手たちは、もう慣れっこのようだ。一色が言う。
「真矢ミキさんが大好きで、一緒にテレビに出たことがあるんです。デレデレで、見てられなかった。奥さん見たら、怒るんじゃないですかね。でも、それも含めての監督なので、『また、やってるよー』ぐらい。監督のキャラとして定着してる。不思議なんですけど、それによって監督としての威厳が損なわれることはないんです」
原はたまに酔っぱらって寮に帰って来て、1階の選手部屋に乱入し、部員にからむ。しかし、そこは「敵もさる者」で、そうして酔いどれを装い、あえてスキを見せることで選手との距離を詰めているのではないか。
だが、そんな見立てを一色は否定する。
「演技じゃないと思いますよ。演技だったら、ずっとは持たない。茶目っ気なんですかね」
神野も似たような解釈をする。
「もちろん、そうしながら、選手の普段の様子とか体調を観察しているとは思います。でも、無理してやってるわけじゃない。そういうことが自然にできるんだと思います」