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日本人初の9秒台。NumberMVPを
勝ち取ったその足は扁平足だった!?
posted2017/12/21 15:30
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph by
Takuya Sugiyama
その年、スポーツ界で目覚しい活躍をしたアスリートに贈られるNumber MVP賞。今年は日本人で初めて“10秒の壁”を突破した桐生祥秀に贈られた。
授賞式出席のため、桐生が文藝春秋を訪れたのは12月某日のこと。
試合の映像や写真では肩幅が広く、大柄に見えていたのだが、実際に会った桐生はスリムで、どちらかといえば小柄な印象だ。
鍛えられた体にぴたりとフィットしたスーツ。ブルーのタイに、イルカが連なったネクタイピンは、この日の装いのこだわりだという、おしゃれ好きな一面も。
そして磨きこまれたキャメルの革靴のサイズは24.5cm。成人男性としては小さいが、それでも少し余るほどだという。
「競技の靴はアシックスに特注で作ってもらっているので、ぴったりなんですけどね。革靴ばかりはどうにもならなくて」とはにかむ。
「角度がないソールのスパイクをオーダーしています」
今巷ではテレビドラマ『陸王』が話題になっているが、アスリートにおける靴の重要性は、マラソンランナーに限った話ではない。
桐生もまたスパイクには独自のこだわりを持っている。
「市販されている短距離のスパイクは、ほとんどが母指球からつま先へと反り上がっています。ところが僕は足首がすごく硬い。つま先上がりのスパイクを履くと、踵が伸びてしまうので、脛の筋肉が張って、痛くなってしまうんです。今はほぼ角度がないソールのスパイクをオーダーしています。トレーニングシューズも、まるでサンダルみたいにフラットですよ」
以前は、店舗でなるべく平らなソールを探して買っていたといい、靴選びには相当苦労したようだ。