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日本人初の9秒台。NumberMVPを
勝ち取ったその足は扁平足だった!?
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph byTakuya Sugiyama
posted2017/12/21 15:30
次の目標は「9秒8台」という桐生。10秒台を破った伝説は、東京五輪へと続く……。
走っているうちに足の裏の筋肉が肥大して扁平足に!?
「オーダーできるようになって、すごく走りやすくなりました。速い選手はだいたいつま先が反っているスパイクを履いているので、みんな同じような靴を履くんですけど、僕みたいに足首が硬い人は、フラットなソールのほうが合うかもしれません。
あと、僕、足の裏全体がべたっと床に着くぐらいの扁平足なんですよ。足裏の計測をすると本当に土踏まずがない。土踏まずを作ってくれるインソールもありますけど、あれも圧迫されるので、痛くて履けません。
ただ元々扁平足なのかは分からなくて。土踏まずにも筋肉があるので、走っているうちに鍛えられ、筋肉が肥大して、土踏まずがなくなった可能性もあります」
靴によって走りが変わる――。それはドラマのなかだけの話ではない。9秒98という歴史的記録の裏側には、桐生のシューズへのこだわりもあったといっても過言ではないだろう。
「200mがあまりにも遅いんです(笑)」
リオ五輪と世界陸上ロンドンでのメダル、そして日本新記録。
充実した大学生活だったと振り返った桐生は、このオフには念願だった運転免許も取得。人生初の1人暮らしもスタートした。
「色々忙しくて、まだ帰って寝るだけの毎日です」とはいうものの、ワクワクとした表情は新しい生活への期待でいっぱいだ。
今後は陸上部のない日本生命に在籍。来年のレースは未定だというが、練習はこれまでどおり東洋大学で行なっていくという。
「いつから試合に出るか、どの試合に出るのかもまだあまり考えていません。ただ来年はオリンピックもないし、世界陸上もないので、色々なことにチャレンジしていける年にしたいと思っています。
あと僕、100mに比べて、200mがあまりにも遅いんです(笑)。
関東インカレとか日本インカレとか、学生の大会がなくなると、試合数が少なくなってしまうので、200mの種目にもベストを狙う気持ちで出て行きたいですね」
2017年にブレイクスルーを果たした桐生が、来年どんな走りを見せてくれるのか、期待は高まるばかりだ。