詳説日本野球研究BACK NUMBER
ドラフトが象徴、球界勢力図の激変。
大物狙うパと冒険しないセに格差が。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2017/11/24 07:00
将来のスター候補を獲得できればメディアも大きく取り上げる。パ各球団の積極的な姿勢は、そこも踏まえているのかもしれない。
福留、松坂、田中、中田、松井、そして清宮。
それ以降もパのほうが有力選手の獲得には積極的だ。以下、注目された選手のセ・パの入札球団数だ。
福留孝介(遊撃手・PL学園高)パ4・セ3 ※福留は近鉄入団拒否
松坂大輔(投手・横浜高)パ2・セ1
田中将大 パ3・セ1
中田翔 パ3・セ1
松井裕樹 パ3・セ2
清宮幸太郎 パ4・セ3
すべてパ・リーグの方が上回っている。
セの方が入札して引き当てたのは原、松井ぐらい。
主な有力選手でセ・リーグの入札が多く、なおかつ抽選で勝ったのは'80年の原辰徳(三塁手・東海大/セ3・パ1)と'92年の松井秀喜(三塁手・星稜高/セ3・パ1)くらいしかおらず、セ・リーグの球団に入団した選手でも岡田彰布(三塁手・早稲田大)はパ4・セ2、広沢克己(一塁手・明治大)はパ2・セ1だった。
ここ近年では'11年の菅野智之(投手・東海大)も日本ハムと巨人によって抽選が争われ、日本ハムが当たりクジを引いた(菅野は入団を拒否)。
こう見ていくと、セ・リーグの各球団は冒険しない傾向がある。
1位入札選手の指名の重複を恐れ、人気選手に向かわない。巨人がドラフトをボイコットした'78年、江川(作新学院職員)に1位入札したパリーグの球団は南海、ロッテ、近鉄の3つだったが、セ・リーグは当たりクジを引き当てた阪神1球団だけで、菅野のときには巨人以外、セ各球団は指名の気配すらなかった。