プロ野球亭日乗BACK NUMBER
活躍した選手より取材対象への愛。
プロ野球MVP投票、“忖度”の度合い。
posted2017/11/25 11:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
また陰鬱な気分になる季節がやってきた。
プロ野球の「NPB AWARDS 2017」が11月20日に都内のホテルで行われ、両リーグの表彰選手の発表と表彰が行われた。
今年はパ・リーグのMVPにはソフトバンクのデニス・サファテ投手、セ・リーグは広島の丸佳浩外野手、新人王にはパ・リーグが西武・源田壮亮内野手、セ・リーグは中日・京田陽太内野手が選ばれた。日本シリーズ終了後に米国に帰国していたサファテは、予想外だったという正力松太郎賞の受賞もあり、表彰式に合わせてわざわざ再来日。改めて選手サイドが感じている受賞の「重み」を、行動で示してくれることにもなった。
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ただ、そういうサファテの行動を見ると、次は逆に選ぶ方の姿勢を問わざるをえなくなってくる。
毎年、毎年、記者投票で選ばれるMVPや新人王、ベストナインの投票結果を見るたびに気が重くなるからだ。
今年はMVP、新人王など順当な結果だったが。
今年の受賞者はMVP、新人王、ベストナインともに順当な結果で、改めて異を唱えるものではなかった。ただ、投票結果に記者の間でも話題となった「?」な票がいくつかあったのも確かなのである。
その中でも特に目立ったものが2つ。1つはMVPの投票でオリックスの山岡泰輔投手に1位票を入れた記者がいたこと。そしてもう1つがセ・リーグの新人王の2位に阪神の大山悠輔内野手が入ったことだった。
山岡はルーキーながら24試合に登板して、確かに1軍の戦力としてそれなりの活躍はした。ただ結果的には8勝11敗で防御率3.74という数字だ。オリックスは4位でチーム成績への貢献というプラスアルファも考えづらい。しかも投票内容を取材していくと、驚くべきことがもう1つあった。