ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
オシムは今も日本を気にかけている。
「ハリルホジッチはどうしている?」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byUEFA/UEFA via Getty Images
posted2017/11/16 11:30
W杯予選で敗退したボスニア・ヘルツェゴビナ代表のスタンド風景。オシム自ら代表監督としてイタリアW杯でベスト8に導いているだけに、悲しみも深い。
「敗北によってわかることが本当にたくさんあるはずだ」
――ええ、とてもいいテストになると思います。
「負けるかも知れないが……敗北によってわかることが本当にたくさんあるはずだ。何が足りないのか、どうすればもっとサッカーが良くなるのか。幾人かの選手は替えねばならないだろう」
――やるべきことはたくさんありますね。
「君らジャーナリストも落ち着いて仕事ができるわけだ。ずっと批判し続けてきて、今はようやくそれを止められるわけだから(笑)。次の批判に向けて新しい紙とペンを用意する十分な時間がある。
日本人選手のヨーロッパへの移籍は今も続いているだろう。レベルの高いリーグ、優れたクラブでプレーするのはいいことだ。彼らがそこで確固たる地位を確立すればいいが。レスターの岡崎やインテル・ミラノの長友がそうであるように。彼らは名声を得て話題にものぼる。それは日本がそれだけ進歩した証拠でもある」
「日本は長い時間をかけてサッカーに投資してきた」
「日本は長い時間をかけてサッカーに投資してきた。フィジカル能力を向上させるために多大な努力をして、とても勤勉な選手たちを生み出した。ヨーロッパではそうでないとプレーができない。
多くのクラブが日本人を獲得しているわけではないが、優れた選手を見いだす手助けにはなるだろう。
日本人とヨーロッパ人の違いを理解したうえで選手を獲得する。違いはとりわけフィジカル面とディシプリンだ。今日のサッカーではこのふたつが揃っていないととても難しい。もちろんどうプレーするかもわかっていないといけないが。そしてプレーを知るためにはまだまだ時間がかかる。
もし私の知人たちに会うことがあれば、私がくれぐれもよろしく言っていたと伝えてくれ。私の知る監督たちに会ったならば、私は常に日本のことを考えていると。こちらの日本大使館でおこなわれる行事にはよく出席している。大使はしばらく前に交代したばかりで、フランス語を流ちょうに話す」
――それはいいですね。