ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
オシムは今も日本を気にかけている。
「ハリルホジッチはどうしている?」
posted2017/11/16 11:30
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
UEFA/UEFA via Getty Images
夏の間、サラエボから自宅のあるグラーツに戻り、検査と保養を兼ねてバカンスを過ごしたイビチャ・オシムは、ワールドカップ予選の最終段階を迎えるにあたり再びサラエボに落ち着いたのだった。
残念ながらボスニア・ヘルツェゴビナはプレーオフにも進めず、メッシャ・バズダレビッチ監督は予選敗退後に辞任し、ボスニア協会は新監督の選出に苦心している。オシムの長男で、かつて彼の後を継いでジェフ千葉の監督を担ったアマルが有力候補であるという。
ボスニアに戻ってからカタールも含めアマルが重ねた実績への客観的な評価と、その客観的な評価を下す対象が実の息子であることの心理的な葛藤に彼は苛まれている。
秋も深まり、これから冬を迎えようとするサラエボで、オシムが近況を語った。
「鹿島、川崎というのは順当なところだな」
――元気ですか?
「ああ、何とかつつがなくやっているよ」
――それなら良かったです。
「君は少しは痩せたのか? ほんの数キロでも痩せるとずっと健康になれるぞ」
――その通りです(笑)。
「それで日本はどうなんだ? 今はどこが(Jリーグの)首位なのか?」
――鹿島が1位で川崎フロンターレ、セレッソ大阪と続いています(註:この電話インタビューは10月29日におこなわれた)。
「鹿島、川崎というのは順当なところだな」
――残り3試合で4ポイント差ですから、鹿島に大きなアドバンテージがあります。
「経験も豊富で優れた選手も多い。それだけのことはある。鹿島は私がいたころから変わらないんだろうな。常にインパクトを与え続けている。若手はベテランを見て学べるし、対戦相手も彼らには敬意を示す。とてもいい環境にあるのは間違いない。
そういえば、もしかしたらアマルがボスニア代表監督になるかも知れない。ただそのことがまたひとつ問題を引き起こすかも知れない」
――どういうことですか?