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「ジョホールバルの歓喜」から20年――。
ラーキンスタジアムの今を訪ねた。
posted2017/11/16 07:00
text by
磯貝哲也Tetsuya Isogai
photograph by
Tetsuya Isogai
「ジョホールバル」「ラーキンスタジアム」と聞いて、ピンと来ないサッカーファンはいないだろう。
1997年11月16日。
日本代表が初めてワールドカップ出場を決めた「ジョホールバルの歓喜」から20年が経った。
決戦の会場となったラーキンスタジアムは今、マレーシアの強豪となったクラブ「ジョホール・ダルル・タクジム(JDT)」のホームスタジアムとなっている。
今秋、JDTのマレーシアスーパーリーグの試合を見るため、そして「ジョホールバルの歓喜」の思い出を確かめるため、ラーキンスタジアムを訪れてみた。
「スタンドにドラえもんの大きな旗がなびいていた」
「20年前の日本対イランね。ああ、スタジアムに来ていたよ。僕は当時ジョホールFA(JDTの前身)のジュニアユースに所属していて、みんなで観戦に来ることになったんだ。今はスタジアムは綺麗になったけど、当時は本当にボロボロで、よくもあんなに日本人の応援が来たと思うよ」
そう話してくれたのは、ちょっと丸みを帯びたボディから、優しい笑顔が溢れるアリ君。現在JDTのサポーター集団“BOYS OF STRAITS”(BOS)の一員として応援時の太鼓を叩いている。
「ラーキンスタジアムは、本当に青いシャツを着た日本人ばかりだったよ。トイレの列だって、僕たちマレーシア人より並んでいる人が多かったんだから。まるで、ここは日本か? というくらいに。一体何人の人がラーキンにやってきていたんだろうね……半分以上は日本人だった気がする(笑)。逆にイラン人はまったく見かけなかったな」
思いがけず、あっさりと「ジョホールバルの歓喜」に立ち会った人とめぐりあえた。
当時の話をもっと聞こうとすると、アリ君はちょっと困った顔をしながら、話を続けてくれた。
「ナカタはあの試合で凄い活躍していたみたいだけど、彼のことをよく知ったのは彼がローマで活躍してからだから、当時はよくわからなかった(笑)。ごめん、試合のことは正直あまり覚えていないよ。そうだ、スタンドにドラえもんの大きな旗がなびいていたことは覚えているよ」