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内藤哲也また1年遅れのG1制覇。
その現象は東京ドームでの大合唱へ。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2017/08/16 17:00
本人にとってもファンにとっても、待ちに待った「新日本の主役の座」。あとは、1.4のメインで大暴れするだけだ!
棚橋に勝った内藤とオカダに勝ったオメガ。
両国3連戦の初日で棚橋に勝った内藤。
2日目に、ついにオカダに勝ったオメガ。
オメガはオカダに勝つという1つ目のテーマは乗り越えた。
内藤は2日目、オメガがオカダとの戦いで消耗している間にゆっくりと体を休めた。この日程は誰のために組まれたものかは定かではないが、回ってきたはずの運を素直に受け入れようとしていた。
また、新しい光景を内藤の見開いた目は見ている。
4年前の夏、内藤は棚橋を倒して第23回のG1クライマックスで初優勝した。
あの時も「1年遅れだな」と感じた。その前年のG1では右ヒザ十字靭帯断裂という大ケガの悪夢でプランは修正を余儀なくされたからだ。
今になれば、「あの時は背伸びしていたな」という正直な思いもある。
だが、あれがなかったら、メキシコに渡らなかったら、インゴベルナブレスの仲間との出会いがなかったら、インゴベルナブレス・デ・ハポンを結成することもなかっただろうから、人生とは何がいいかはわからない。
神様のいたずらなのか、そんな不思議なめぐりあわせを感じる。
「あっせんなよ、内藤哲也」
自分に言い聞かせるように同義の「トランキーロ」というスペイン語を操って、内藤はファンの心をつかんだ。
時代は何を内藤に求めているのだろうか?
時代は、内藤に味方した。
国技館で棚橋にブーイングが浴びせられて、内藤には彼を支持する大きな内藤コールが送られる。こんな環境を誰が想像しただろうか。
ファンが気まぐれなのか、棚橋がマンネリ化してしまったのか、は定かではない。
時代は何を求めているのだろうか?
本当に内藤を求めているのだろうか?