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内藤哲也また1年遅れのG1制覇。
その現象は東京ドームでの大合唱へ。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2017/08/16 17:00
本人にとってもファンにとっても、待ちに待った「新日本の主役の座」。あとは、1.4のメインで大暴れするだけだ!
「いったいどこまで行ってしまうのか、それも楽しみ」
祝勝ムードの中、内藤は乾杯もせずに、「疲れた」と言って早々に会見場を後にした。
「こんなもんじゃないですよ。東京ドームでも、これを超える大合唱をお客様が待っていますよ。皆さまも楽しみにしていてください」
内藤の背中がそう語っているように見えた。
内藤は翌日も「絶口調」だった。
「G1クライマックス優勝という名の“強力なジャンプ台”を踏みましたよ、間違いなく。いま上昇中ですね。一体どこまで上がるのか、わかりません。でも、このジャンプ台を踏んだ感触が4年前とはまったく違いますね。いったいどこまで行ってしまうのか、それも楽しみです。
(オレを止めたいヤツがいるなら)はっきり口に出すべきですよ。それがメキシコで、そしてインゴベルナブレスの仲間たちに教わったことですよ。口に出さなきゃ、思っているだけじゃ、誰にも何も伝わらないから」
内藤が目指すのは、東京ドームのメインのみ。
今、内藤が魅力を感じるものは東京ドームのメインイベントだけだ。オカダでも、IWGPでもない、ドームのメインという価値観だ。
G1初優勝後の2014年の1.4ドームではオカダとのIWGP戦までこぎつけたが、どうせ内藤だから(?)という理由でちょっかいを出されてメインから「セミファイナル」(ダブル・メインイベント第1試合)に降格されて、悔しい思いをした。内藤はあの悔しさを忘れることはできないはずだ。
運命はまた似通った状況を作り上げた。だが、今度はその先が違う物語のはずだ。
次の東京ドームのメインが終わって、内藤が勝者としてリングの中央に立って「お客様」と「デ・ハポン」を大合唱する、というのが次のお楽しみだ。
「トランキーロ、あっせんなよ」
内藤は自分に言い聞かせるように決め台詞を繰り返した。