話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
大宮降格回避へ得点量産モード!
江坂任の“消えてから決める”技。
posted2017/07/17 07:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
N.O.ARDIJA
後半戦のスタートは手厳しい結果に終わった。
大宮アルディージャ(16位)は、J1残留を争う北海道コンサドーレ札幌(15位)と対戦したが後半アディショナルタイムにこの日、2本目のFKを福森晃斗に決められて2-2のドロー。16位のままでJ2降格圏から脱出することができなかった。
札幌戦を見ていると選手交代の判断や試合の終わらせ方などに課題がまだある。
だが、5月28日に渋谷洋樹監督が解任された後、伊藤彰監督が指揮を執ってから、これでリーグ戦は2勝2分1敗、勝ち点8を稼いでいる。渋谷前監督が13試合で勝ち点7だったことを考えれば、指揮官の交代は「吉」と出ていると言ってもいいだろう。
実際、試合内容、とくに攻撃面でいいところが出てきている。
4-1-4-1システム採用で、江坂が覚醒しつつある。
伊藤監督は、4-1-4-1のシステムを敷いているが、これはブラジル代表を率いるチッチ監督が敷くシステムと同じだ。ちなみにチッチ監督が4-1-4-1のシステムを採用して復活したブラジルは南米予選で8戦8勝という好成績を残し、ロシアW杯出場を世界最速で決めている。
大宮の攻撃力を、ネイマールらスペシャルな個人能力を持つブラジルと比べるのは無理があるかもしれない。とはいえ全体をコンパクトにして高い位置からボールを奪う形を徹底し、前線は流動的に動き、かつ全体が連動している。その結果、伊藤監督が就任以降、5試合で9得点を奪い、13試合7得点と壊滅状態だった攻撃が再生されつつあるのだ。
このシステムによって覚醒しつつあるのが、1トップの江坂任だ。
札幌戦で後半4分、大前元紀のシュートのこぼれ球を詰め、今季6点目を決めた。
「うまく繁君(横谷)のところに繋がって、元紀君(大前)がニアに走った瞬間、自分は繁君からマイナスでもらおうと思っていた。そこでマイナスに行ったのでこぼれ球に反応できたと思うし、ヘディングした後、サポートに行ったのがゴールに繋がったんだと思います」
得点のシーンについて江坂はこう振り返った。