話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
大宮降格回避へ得点量産モード!
江坂任の“消えてから決める”技。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byN.O.ARDIJA
posted2017/07/17 07:00
群馬で活躍した選手が大宮に移籍し、主力に定着パターンが近年増えている。江坂はその代表例と言えるだろう。
前体制で無得点、伊藤新体制になって5試合5得点。
ただ形としてはその2分前、先制点でのこと。江坂が見せた動きにゴール感覚の鋭さをより感じた。横谷がDFとヘディングで競り合い、ボールがGK前にこぼれるの予測して江坂が突っ込んだのだ。これに慌てた相手DFのクリアがイージーなこぼれ球となり、大前のゴールにつながった。
江坂は昨年、群馬から大宮に移籍し、2列目を主戦場として31試合8得点を挙げた。その実績が買われて開幕からスタメン出場し、大前や瀬川祐輔と2トップを組んでプレーしていたが、渋谷前監督の時は1得点のみだった。それが伊藤監督に変わり、4-1-4-1になってから5試合で5得点と量産している。
好調の理由は何なのだろうか。
「まず、後ろでのボールの回し方がうまくなったのが大きいと思います。システムを変更する前は、ボールをあまり受けることができなかったのでしんどかったんですが今はボールを間、間でうまく受けてリズムを作り、そのいいリズムのままシュートのところに顔を出せています。その時も1回顔を出して相手がボールウォッチャーになって自分が消えてから、まだ出ていくので相手は捕まえづらいと思うし、それがうまく出来ているのが好調の理由かなと思います」
「何回も顔を出してパスを受けて、差をつけないと」
センターFWはゴール前にドンと構えてあまり動かな位タイプもいるが、江坂は真逆だ。もともと屈強なセンターFWタイプではないし、ラストパスに対して点で合わせるタイプでもない。175センチ、68キロの身軽さを生かしてシャドーの位置まで下りてきてポイントを作り、またゴール前に飛び込んでいく。その動きに相手がついてこれないので、いい状況で勝負ができている。
「自分は、ゴール前で待つセンターFWのように体がすごい強いわけではないですし、足がめちゃくちゃ速いわけでもない。何回も顔を出してパスを受けて、動きのところで差をつけないといけない。前よりも攻守に仕事量が増えましたけど、その分、自分のリズムを作れるのでやりやすさはすごく感じています」
江坂が「やりやすさとやりがいを感じる」という1トップ、それに4-1-4-1のシステムは、“大宮再生”のポイントになるだろう。