マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
巨人・篠原慎平を救った“二の矢”。
彼が野球の道に戻ってきた価値。
posted2017/05/10 07:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
今年のプロ野球は、試合後半の中継ぎに若手・新鋭の活躍がめざましい。
楽天の高梨雄平、森原康平の左右のルーキーコンビに、日本ハムの3年目右腕・石川直也。社会人(九州三菱自動車)で4年間奮投してプロ入りした千葉ロッテ・有吉優樹に、独立リーグ(BC武蔵)出身の中日2年目右腕・三ツ間卓也。
5月に入り、対戦もふた回り目にさしかかるこの時期でもなお、1イニングに懸ける彼ら中継ぎニューフェイスたちの懸命の奮戦が光る。
その1人。
巨人・篠原慎平も、やはり独立リーグからNPB入りし、3年目の今季、中継ぎで頑張っている大型右腕だ。
今季を中継ぎで迎えることは、昨季のイースタンからそんな兆しがあった。
186センチ97キロ。雄大な体躯から豪快に投げ下ろしても、体のまとめ方を知っているから球道が安定している。145キロ前後の重そうな速球でストライク先行。ファールでカウントを作れるスライダーもあるし、勝負球のフォークもストライクゾーンとホームベース上を狙ったショートバウンド。ちゃんと投げ分けられているように見えていた。
そんなアラ探しの難しい内容で投げていたから、防御率だって今季まで1点台、0点台が続いて、とうとうこの4月16日、めでたく支配下契約が調った時も、「ああ、やっぱりね……」と納得の思いしかなかったものだ。
高校時代、誰かの“ついで”で篠原を見た。
そんな篠原慎平の高校時代を、実は見ている。
あれは、誰を見に行った時だったのか。お目当ては彼ではなかった。
「愛媛の怪童」と注目を浴びることになる西条高の“二刀流”秋山拓巳は1年下だから、まだ私は知らなかった。いろいろ考え、調べてもわからなかったのだが、とにかく誰かを見に行った夏の愛媛県予選で、私はたまたま“川之江高・篠原慎平”のピッチングを見ることになった。