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俊輔に授業料を払い、浦和を完封。
昌子源「この勝利は勝ち点6の価値」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2017/05/09 11:00
雪辱に燃える敵地での“ウノゼロ”。昌子らDFにとって会心の90分間だったことは表情を見れば明らかだ。
シルバ、興梠、武藤の前線トリオに仕事をさせず。
そして浦和戦でマッチアップしたのは、最も危険な存在となっているラファエル・シルバだった。昨季まで新潟で同僚だったレオ・シルバの助言を受けて、スピードに乗らせる前に潰すことを徹底した。また、サイドで仕掛ける関根貴大は西大伍がしっかりと見て、レオ・シルバが挟みこむなど仕事をまったくさせなかった。試合後、関根は無言でミックスゾーンを通り過ぎていくほど落胆していた。
サイドからのクロスに対してはしっかりと中で跳ね返し、興梠慎三と武藤雄樹のシャドーに対してはボランチの小笠原満男とレオ・シルバがボールが入った時に厳しくアプローチし、自由にさせなかった。時間が長くなるとその対応にズレが出てきてしまいがちだが、全員が集中して守備をすることができた。
これこそが9試合24得点とリーグ最多得点を誇る浦和を完封し、勝利することができた大きな要因になった。磐田戦での悪夢の3失点からしっかりと守備を立て直してきたといえよう。
「浦和さんをゼロに抑えられたのは良かった」
これで鹿島は今シーズン、4試合目の完封勝利を飾った。
「失点ゼロへの意識は、センターバックなのでいつも持っています。ゼロにこだわってやっていかないといけない立場にいるんで今日、浦和さんをゼロに抑えられたのは良かったと思います」
もちろん良いことばかりではない。
警戒していたラファエル・シルバには決定的なシュートを放たれた。センターバックコンビを組む植田直通が昌子のポジションをカバーしなかったことが原因だが、そうした幸運にも失点につながらなかったミスを反省点として昌子は受け止めていた。
それでもこの日は、戦う気持ち、勝ちたい気持ちも浦和を上回っていた。
レベルが拮抗した相手との試合において、最後に勝敗を分けるものは、よく「勝ちたいという気持ちの差」だと言われる。個人の技術やセンス、戦術などを両チームから差し引いていくと最後に残るのが気持ちになるからだ。