“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
G大阪、清水で育った筑波大の知将。
長谷川健太と小井土正亮、師弟の絆。
posted2017/05/07 08:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
昨季インカレ優勝を果たし、今季の関東大学サッカーリーグでも開幕2連勝と好スタートを切った筑波大学。このチームを率いる監督・小井土正亮には、大きな夢がある。
「いつか長谷川健太さんが率いるチームと試合がしたいんです」
大学リーグ開幕前に話を聞いた折、彼はそんなことをサラリと口にした。どうやら、彼のサッカー人生にと長谷川健太という男は、切っても切れない存在なのであるらしかった。
1978年に岐阜県で生まれた小井土は、地元の各務原高校でエースとして活躍。東海地区では名の知れた選手で、チームを高校選手権とインターハイ初出場にまで導き、そのインターハイではベスト8にまでチームを進ませた立役者となっていた。
視野が広く、冷静沈着なプレーが特徴的だった小井土は、筑波大学に進学。大学卒業と同時に、水戸ホーリーホック入団と筑波大大学院に進学。プロ生活こそ1年で終わったが、大学院3年目で運命の出会いをする。
長谷川と小井土、出会いはS級ライセンスの講座。
長谷川がサッカー指導者のS級ライセンスを取得するために筑波大学で研修を受けたとき、その補助スタッフを小井土が務めたのだ。20人あまりのS級ライセンス取得希望者全体をフォローするそのスタッフに、長谷川は大きな興味を示したという。
「健太さんが『いつか一緒に仕事をしような』と言ってくれたのは、本当に嬉しかったですね。でも、最初は内心『いつになるのかなぁ』と思っていたのですが、その翌々年にいきなり『エスパルスの監督に就任するからコーチとして来い』と言われたんです(笑)。『早っ』と思いましたね」
2005年、長谷川は清水の監督に就任した。当時、小井土は大学院修了後、柏レイソルでテクニカルスタッフを務めていた。契約も残っていたが、長谷川からのラブコールを断る理由は無かった。
こうして長谷川監督就任と同時に、27歳の小井土は清水のアシスタントコーチに就任することとなった。