サッカーの尻尾BACK NUMBER
バルサにいまも漂うPSG戦の余韻。
後任監督選びにも影響する継続路線。
posted2017/03/18 07:00
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph by
AFLO
宴は長くは続かなかった。
チャンピオンズリーグでPSGに逆転勝利を収めた週末、バルセロナはリーガでデポルティーボ・ラコルーニャにいいところなく敗れた。
すべてを出し尽くした試合の後で、疲労もあったのかもしれない。PSG戦でもひとりだけ別格のプレーを見せていたネイマールもいなかった。ここ数週間、張りつめていた緊張感が途切れた部分もあっただろう。
PSG戦の夢の続きを見ているような、ふわりとしたパフォーマンスだったけれど、それも仕方がない。あのレベルの試合を持続することなど不可能だ。
むしろ、シーズン最高の試合を見せたかと思えば、ころっと格下に敗れるところなど、どこか人間的でいい――。
そんなことまで思わせるPSG戦の余韻が、今もバルセロナの空に漂っている。
バルセロナを騒がす、後継問題。
現在、バルセロニスタの間で語られるテーマが、ルイス・エンリケの後継者は誰になるのか、というものだ。
例によって、多くの候補者の名前があがっている。
メディアで騒がれたのは、現在リーガで指揮をとる、エルネスト・バルベルデ(アスレティック・ビルバオ)とホルヘ・サンパオリ(セビージャ)のふたり。それ以外にも、きっと世界中の監督たちが、履歴書を準備しているはずだ。
しかしPSG戦が終わり、急激に地元で支持を集めているのが、現指揮官の補佐を務めるファン・カルロス・ウンスエの監督昇格。ルイス・エンリケ時代からの継続路線を求める声が、強まっているのだ。
新監督就任には常にリスクがつきまとう。サンパオリの哲学はとても魅力的だけれど、リーガや欧州での経験は少ない。セビージャがCLでレスターに敗れた責任は、第2戦でのサンパオリのアプローチにあったとする見方も多い。運動量が多く、メンバーやシステムを変え続ける彼のサッカーにMSNがはまるのか、という疑問もある。
バルベルデはリーガでの経験も豊富。選手との和を重んじ、柔軟な対応もできるので、ある意味適役かもしれないが、いかんせん地味で、これといったアピールにも欠ける。1シーズンやったものの、しっくりこずに去ったヘラルド・マルティーノを思い起こさせる。