濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
中国の選手が史上初のK-1王者に。
世界の格闘界に新たな潮流誕生か?
posted2017/03/08 07:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Takao Masaki
バックステージのインタビュースペースで、「予想外」、「想定外」という言葉を何度も聞いた。言葉の主は、K-1初代ライト級王座決定トーナメント(2月25日、国立代々木競技場第二体育館)に出場した選手たちだ。
真っ向勝負と豪快ノックアウトが魅力のK-1だが、決してノーガードの殴り合いばかりではない。試合には当然ながら、倒すための戦略が存在する。作戦を立て、その裏をかき、「想定外」に常に対応する。その結果として生まれるのがKOであり、それができなければハイレベルな世界トーナメントを勝ち上がることはできない。
2階級制覇を狙ったものの1回戦でムエタイ戦士ゴンナパー・ウィラサクレックに敗れた卜部功也は「相手を大きく見すぎましたね」と反省していた。ローキックを警戒しすぎた、もっと自然体でいけばよかった、と。
中国の選手がK-1王者になるのは史上初。
新生K-1初参戦となる谷山俊樹はクリスチャン・スペトゥクに完敗を喫している。曰く「相手はスピードもスタミナも想定以上でした。これが世界(レベル)なんですね」。卜部に勝ったゴンナパーも、準決勝で平本蓮の速攻に沈んだ。「警戒が足りなかった。まさかいきなり前に出てくるとは」。
そして観戦していたファンにとって最も予想外だったのは、中国から初めて参戦してきたウェイ・ルイの強さだろう。
ウェイは1回戦でKrush王者の佐々木大蔵をKOし、準決勝ではスペトゥクを完封。平本との決勝はスプリット・デシジョンの接戦になったが、パンチの連打でジャッジの印象を持っていった。
中国の選手がK-1王者になるのは史上初。そしてそれは必然でもある。来るべき時が来た、ということだ。