JリーグPRESSBACK NUMBER
ACL日韓戦での成功体験をJでも。
浦和、川崎が身につけ始めたタフさ。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/03/08 11:30
自慢のコンビネーションにプラスして、相手の気勢を削ぐような激しいプレッシングを。浦和はACLの戦いを経て、新たな次元に達しようとしている。
韓国勢に対して“目には目を”で明確な結果が。
2015年頃には日本側に「選手が大会を軽視しているのか?」と感じさせるフシすらあった。シーズン序盤に韓国勢に敗れても試合後すぐに「次のゲームがある」と口にする。「とりあえずグループリーグは2位突破で帳尻を合わせておいて、決勝トーナメントでギアを上げていこう」というような雰囲気である。
しかし、この流れが少しずつではあるが、変わりつつある。韓国勢に対して“目には目を”という対策が明確な結果を残しているのだ。
3つのゲームのうち、鹿島アントラーズは我慢して勝利した。前半、蔚山に押されながらも64分に金崎夢生が先制、82分には鈴木優磨が追加点を挙げた。
「今日の試合、前半はやはり韓国のチームに対して、スピードであったり体のぶつかり合いであったり、そういうところに慣れるのに少し時間がかかったなという思いで見ていた」(石井正忠監督)
試合の中で修正が利く、というのもリーグ王者ゆえの強さか。
“ひるまずに戦えば、やれる”ことを示した川崎。
一方で残りの川崎、浦和の2クラブの話が本論だ。
例年の「相手のパワーを技術でいなそうとするが、逆に制圧される」という流れが変わりつつあるのだ。
水原三星にホームで1-1と分けた川崎フロンターレの結果は、決して褒められたものではない。ただ、その内容には興味深い点があった。前半に2度、相手ボランチの位置でボールをかっさらい、チャンスを生み出した。そのうちの1回が先制ゴールに繋がった。
近年の水原は、パスを繋いで攻撃を組み立てようとするスタイルを志向する。そんな相手を川崎は“ハメた”のだ。MF大島僚太は試合後、こんなことを話していた。
「プレスをかけていく戦術は元々キャンプから取り組んできたこと」
特別な韓国チーム対策ではない、という。しかしこれは“日本勢もひるまずにやれば、やれる”という点を示している。川崎の場合、フィジカルを前面に出すというよりも、よりタクティカルなイメージだったが。