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ACL日韓戦での成功体験をJでも。
浦和、川崎が身につけ始めたタフさ。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/03/08 11:30
自慢のコンビネーションにプラスして、相手の気勢を削ぐような激しいプレッシングを。浦和はACLの戦いを経て、新たな次元に達しようとしている。
「最初からガツンと行こうと話していた」(槙野)
前年度Kリーグチャンピオンを5-2で降した浦和は、考えがより明確だった。序盤から強いプレッシングをかけてくる相手に対し、果敢にカウンターを仕掛けゴールを陥れた。「Jリーグでは浦和を相手にまず守備を固めてくるチームがほとんどなので、逆にACLでは浦和の良さが出やすい」という言葉も聞かれた。
槙野智章はこう言う。
「最初からガツンと行こうと話していた。韓国チーム相手のフィジカル対策も経験を積み重ねている。以前は韓国のチームからファウルを受けて、こちらの選手がひっくり返ることが多かったでしょう? 今は、こちらが相手を倒すことが多い」
思えば、韓国勢に対して近年“目には目を”の手を使って好結果を残した柏レイソルも似た考えを持っていた。ネルシーニョ監督下で2012年、'13年に出場し、6勝2分1敗、20得点・8失点の好成績を挙げた。
「韓国のチームは前ががりでプレッシャーをかけてくる。そこにまずはしっかりぶつかる。そうすると相手の後方にスペースが生まれる」
当時の主力選手の言葉である。リーグ戦とACLの戦い方を変える。そう対応した結果でもあった。
Kリーグ側の始動が例年より遅かったことも大きい。
ただ今回の対戦では韓国勢の元気のなさも目立った。鹿島に敗れた蔚山のCBキム・チゴンは「難しいゲームだった」、川崎に引き分けた水原のソ・ジョンウォン監督は「苦しかった」と繰り返し、こうも話した。
「シーズン開幕前ということもあり、全般的に選手の体が重かったと思う」
背景には日韓両国の日程のギャップがある。
ここ2年でJリーグは開幕時期が3月上旬から2月下旬に移行した。今季に関してはこの点もプラスに作用している。日本は国内リーグは開幕直前、もしくは直後のゲーム。逆に今年のKリーグは3月4日、5日開幕で、日本勢はコンディション面で優位に立てた。
例年の日韓対決では、韓国は旧正月が1月末から2月上旬にある分、1月2日や3日から始動するチームもある。つまりチームの「仕上がりの早さ」が韓国側に有利な結果をもたらしてきた。しかし今年に関して言えば、状況が変わっている。