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酉年で、五輪の主将で浦和のCB。
遠藤航と那須大亮は好敵手で、同志。
posted2017/03/07 17:00
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
酉年生まれの年男で、守備的なポジションなら幅広く務められるユーティリティープレーヤー。オリンピックで日本代表のキャプテンを経験し、浦和レッズでは3バックの中央を務める。その一方で、一度ピッチを離れれば優しい父親としての顔も持つ。
これは生まれ年が12年違う2人の選手が持つ、全く同じプロフィールだ。那須大亮と遠藤航は、その年の差を感じさせないほどに激しくポジションを争っている。少しの違いを見つけるならば、那須は闘志を表に出すタイプで、遠藤は内に秘めるタイプ。那須はハードマークと空中戦により強さを見せ、遠藤はカバーリングと地上戦の強さが際立つというところだろうか。
ポジション争いは遠藤がリード、しかし……。
昨季に湘南ベルマーレから遠藤が加入して以来、ポジション争いは遠藤がややリードしている。那須自身も「試合に出る、出ないは監督が決めることだから。年を重ねて若い選手が出てくれば、監督としては普通、どうしてもそっちを使いたくなるものだと思うんですよ。自分が監督になってもそうなると思いますからね」と、冷静に分析している。だからと言って、試合に出られなくて当然などと考えているわけがない。
むしろ、だからこそ必要以上に日々のトレーニングに全身全霊をささげている。同世代では、すでにスパイクを脱いだ仲間が増えた。しかし、誕生日を迎えて36歳になるこのシーズンまでプロサッカー選手でいられるのには、れっきとした理由がある。
全体練習が終わると、那須はロングキックの確認や、スプリント系のメニューなどを追加で行って引き上げることが多い。それはもちろん、レギュラーとして連戦を戦っている時期にはあまり行わないものだ。出場機会が減りだすと、トレーニングの構成を自ら変える。試合に合わせる調整では、トレーニングで監督の目を自分に向けることができないことを、これまでのプロサッカー人生で理解し尽くしているからだ。