“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
10年ぶりのU-20W杯は超重要!
五輪の比じゃない世界の真剣度。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byAFLO
posted2016/10/25 12:00
試合後、歓喜に沸くU-19イレブンとそのスタッフたち。U-20W杯大会に前回出場した内田篤人、香川真司世代からすでに10年が経過していた。
U-19代表がもう1年間一緒に強化を継続できる意味は?
例を挙げれば、ナイジェリアのケレチ・イへアナチョは2013年にUAEで開催されたU-17W杯で大活躍したことで、マンチェスター・シティの眼に止まり、翌年には入団。18歳だった2015年から一気にブレイクしている。今年のリオ五輪のメンバーにも招集されたが、クラブ側が必要不可欠な存在と評価しており、その招集に応じなかった。
同じく現在マンチェスター・シティに所属するセルヒオ・アグエロは、2005年のオランダワールドユース(2007年から現在の名称に変更)で優勝に貢献し、翌年にはアトレティコ・マドリーに入団して、ヨーロッパでのキャリアをスタートさせた。
このようなシンデレラストーリーを描ける2つの世代別W杯は、だからこそ、どの選手も国もきちんと照準を合わせて来る。17歳、20歳の段階で同年代の世界トップレベルの選手と、ガチンコで勝負ができる本当に貴重な舞台なのである。
さらに重要なことは、この世界的な舞台に向けての代表での継続強化を、今のU-19日本代表メンバーを基本として、一緒にもう1年間続けることができるということにある。
ユース世代のW杯に出ることが、一足飛びの成長となる。
9月に一足早くU-17W杯の出場権を掴んだU-16日本代表・森山佳郎監督も、その重要性を強調する。
「W杯出場権を掴むことは、即ち大きく成長する機会を得たことになります。いくらこちらが『世界を意識しろ』と言葉で言っても、その『世界』を知らなければ限界がある。個々が地道に一段一段階段を上るのも大事ですが、一足飛びに成長するためにもW杯に出場をすることは凄く大きな経験になる。
でもここでターゲットエイジ(U-17W杯、U-20W杯の2世代)が負けてしまうと、全員揃った形での継続した強化策が取れなくなってしまい、その年代以降の強化が尻すぼみになる。W杯に出ることを意識して、競争を始めることで、もっともっと経験値が上がる。本来は負けてもそうしないといけないが、残念ながらそうなってはいない。成長速度、成長角度を上げるのは、外的要因も重要で、そうなることで次の五輪やW杯でしっかりプレーできる心構えが生まれるんです」