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マルケス、ロレンソの強さ際立つ!
なぜMotoGPでスペイン人は速いのか?
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遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2016/04/17 10:40
![マルケス、ロレンソの強さ際立つ!なぜMotoGPでスペイン人は速いのか?<Number Web> photograph by Satoshi Endo](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/4/a/700/img_4a6545d19f020223dc5c93eb1165652a174757.jpg)
左から、ロレンソ、マルケス、イアンノーネ。今季の全ライダー21人の中でスペイン人は9人もエントリーしている!
若き才能を伸ばす環境がスペインには整う。
そのセンスを世界の舞台に引き上げる環境がスペインには整っている。若くて優秀なライダーを育てるカテゴリーが充実しているし、それを支えてくれる企業も多い。新聞、雑誌、テレビといったマスコミに取り上げられることも多く、なにもかもが相乗効果を生むシステムになっている。そういう環境から優秀な選手たちがたくさん出てくるのはあたりまえのことでもある。
マルケスの生まれ育ったセルベーラの街を訪れると、街の入口に「世界チャンピオンのマルケスが生まれ育った街」という看板がある。人口約1万人のセルベーラの中心街には、市の博物館があり、その中に'13年、'14年のMotoGPチャンピオンになったマルケスの栄誉を称えてミュージアムが開設されている。
子供のころからのMotoGPマシンまで、マルケスの乗ってきた歴代のバイクがズラリと展示されて、世界グランプリで獲得したトロフィーなどが勢揃いしている。こうしたミュージアムが、市の財源で運営されていることが、モータースポーツが市民権を得ている何よりもの証拠である。
ロードレースを愛する国王も手厚い支援を。
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思えば、1999年にスペイン人としては初めて最高峰クラスの500cc(現在のMotoGPクラス)チャンピオンになったアレックス・クリビーレが、ブラジル・リオGPでタイトル獲得を決めたときに、当時のファン・カルロス国王から祝福の電話がかかってきたことは有名なエピソードである。その後も、地元スペインGPに元国王は何度も訪れプレゼンターを務めている。
そういうお国柄なので、選手の層は厚く、自然にレベルは上がる。財政的にも、数々のスカラシップが充実しているとなれば、次々に優秀な選手が登場してきて当然である。その中でも、マルケスのセンスは抜群で、23歳にして4回(MotoGP2回、Moto2&125cc)のタイトルを獲得と、マルケスの時代は当分続くのではないかと思うのである。
類い希な運動神経。そして、先にも書いた抜群のセンス。加えて、ファンサービスが徹底しているとなれば言うことなし。サインをした数だけ、一緒に写真に収まった数だけファンが増えていく。レースウイークにそういったことを面倒くさがらずやれるのは、疲れをしらない体力のなせる技でもある。