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今野のいない中盤、宇佐美の不調。
G大阪に忍び寄る「悪夢の再来」。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/04/07 18:00
遠藤と中盤でコンビを組む井手口陽介も、持ち味は攻撃にある選手。中盤のフィルターになれる選手が1人は必要なのでは?
GKのリズムを外したシュートが消えた宇佐美。
ちょっと心配なのが、宇佐美の状態だ。昨年は5試合で6得点を挙げ、大久保嘉人が「春の宇佐美は手がつけられないくらいスゴかった。得点王は難しいと思った」というほど好調だった。ところが、左サイドに転向してからゴールが消えた。今も、ゼロックス杯以降公式戦9試合無得点とゴールが遠い。気持ちに余裕がないのか、GKのリズムを外して打つことができず、逆に合わせられて止められたり、枠を外すことが増えた。
極端な不調というわけではないが、乗り切れないのはメンタルが影響しているのだろう。調子に乗ると誰も止められなくなるが、逆に気分が落ちてしまうとプレーが低調になり、しかも長くなる。3冠を達成した2014年の後半戦しかり、昨年のセカンドステージしかりである。
J2降格した悪夢の4年前に近い成績。
昨年、攻撃オプションの増加と日本代表でのポジションを考慮して、長谷川監督は宇佐美を左サイドに置く4-2-3-1を採用した。今季もアデミウソンの守備の不安から、トップ下、あるいは右サイドに宇佐美を置いて同システムを採用している。
宇佐美自身は左サイド克服に意欲的だが、もうそろそろ1年が経過する。ここは割り切って4-4-2に戻してはどうだろうか。上海上港戦では藤本が入って2トップになったが、やはりこのシステムは完成度が高く、昨年も序盤はこのシステムで好調を維持していた。メンバーは、2014年から変わっていないので戻したとしても十分に対応できるはずだ。
その際、サイドMFにはハードワークできる倉田秋、阿部浩之、大森晃太郎を入れるべきだ。彼らの献身的な守備があってこそ、ガンバの中盤が支えられていたことを忘れてはいけない。さらにボランチには今野を戻すべきだろう。井手口が悪いわけではないが、今野が戻った方が守備の修正がしやすくなる。
「これから良くなる」とのんびり構えているわけにはいかない。J2降格を味わった2012年はリーグ戦5試合を4敗1分けで終え、4月末で2勝5敗1分けだった。ACLは4試合を終えて1勝3敗、最終的には1勝5敗でグループリーグ敗退を喫した。次のリーグ戦の仙台戦、柏戦、ACLの水原三星戦の3試合が非常に重要になるが、結果が出ないと4年前の悪夢が甦ることになる。宇佐美は、「悪い流れを切らないといけない」と言ったが、ガンバにとってはこの4月の戦いが早くも正念場になる。