熱血指揮官の「湘南、かく戦えり」BACK NUMBER
湘南ベルマーレ・曹監督の本音炸裂!
J開幕戦、試合前後のリアルな気持ち。
posted2016/03/02 12:00
text by
曹貴裁Cho Kwi-Jae
photograph by
Shonan Bellmare
2016年、湘南ベルマーレを率いる曹貴裁監督が「監督の頭の中」を特別公開します!
本連載では、試合に臨むまでの過程を記した前週の日記と実際の試合結果を受けての胸中を同時に紹介。
狙いは的中したのか? それとも予想外の展開となったのか?
悩み、考え、決断する監督のリアルな声を随時お届けします!
*本連載ではチョウ・キジェ監督の氏名表記方法につきまして、湘南ベルマーレとの協議により「曹貴裁」と統一いたします。
<第1節・新潟戦前週の監督日記>
●2月24日(水)
開幕まであと3日。
今週対戦する新潟さんはハードワークがベースにある素晴らしいチーム。監督も(吉田)達磨だし、とても楽しみな一戦である。
以前は相手の特徴を映像にまとめ、試合3日前くらいから浸透させていくのがベストな準備だと思っていたが、昨年あたりからちょっと違う感情が湧き出るようになった。長くここでプレーしている選手は相手の特徴も肌感覚で分かるようになってきている。でもそれを監督である俺が話すことで、自立心を養うことより依頼心を助長するような雰囲気が生まれてしまう。
だから昨年から、練習の中で自然に選手が覚えていけるように工夫することが増えた。ボールの色を変えてノーマルボールはフリータッチ、赤のボールは1タッチ。笛を吹いたらその逆。こういう練習をする時は選手のサッカーに対するアイデアを自然と引き出したいとき。攻撃のアイデアがたくさん出ることが大切だと思うときは、自分たちの良さを思い出させるためにノーテーマでゲームさせる。
今週は、自分たちの良さを出すことを第一に考え、その中にちょっと相手のエッセンスを入れた練習が必要。大変だけど、これを考えることが監督としてとても面白いと感じる。
●2月25日(木)
今日は普段あまりやらない非公開練習の日。練習内容についてはスタッフ間で激論が交わされた。相手を少し意識させた練習、自分たちのみにフォーカスし自信を持たせる練習。負荷の高低。時間。紅白戦形式をやるか否か。
選手にとってどの練習がどのタイミングで必要か、最後の最後まで悩みぬく。その最たる日が今日だ。なぜなら、今日の練習後、開幕のメンバーをほぼ絞らなければいけないから。正直開幕に選びたい選手が今年はより増えている。
結果、僕は相手を意識させることは最小限に留めることとした。今は自分たちに矢印を向け、スタイルを構築する段階。相手の情報をインプットする時間はまだ残されている。
●2月26日(金)
いよいよ明日に迫った2016シーズン開幕の新潟戦前、最後の練習を終えた。
練習前にミーティングを実施。コーチが相手の情報を映像、パワーポイントで選手に伝える。
ミーティング終了後はピッチに出てあらゆる最終確認。戦術的な面もそうだが、選手が良い表情をして臨めているか、翌日の試合に向けて充実した感触を持てているか。気持ちが高ぶりすぎている選手には冗談を交え気持ちをほぐし、自主練習もそこそこにグラウンドを引き揚げさせた。
年始にチームが始動してから約7週、チームの一体感は確実に向上してきた。明日に向け、自分自身も高ぶりすぎないよう、今日はゆっくり体を休めることにする。