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千葉の“総取っ換え”は成功するか。
揃った戦力で「まさか」の脱却を。
posted2016/03/02 18:00
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
ジェフユナイテッド千葉は、とにかく「まさか」の多いチームである。
近況からさかのぼる。徳島ヴォルティスをホームに迎えた今季のJ2開幕戦は、1点を追う後半アディショナルタイムに2つのゴールを奪って、2-1で「まさか」の大逆転勝利。開幕前のプレシーズンマッチで柏レイソル、鹿島アントラーズ、アビスパ福岡とJ1勢を立て続けに打ち破ったチームは、今オフ、新加入・放出とも20名以上という「まさか」の再編成によって生まれた。
昨季はJ2リーグ前半戦で首位を快走しながら「まさか」の失速。目標とする自動昇格はおろか、プレーオフ進出さえほど遠い「まさか」の9位でフィニッシュした。J2を舞台とする戦いは、降格した当初は誰も予想できなかった「まさか」の7年目に突入する。
この6年間、千葉にとって「J1昇格」はあくまで“現実的”な目標であり続けた。しかし、手を替え品を替えてもそれをクリアできず、クラブはもがき続けてきた。「なぜ?」という思いは、今や、おそらく“純サポーター”よりも“非サポーター”のほうが強い。
“総取っ換え”はリスクであり、チャンスでもあった。
大量放出・大量補強によって生まれ変わった今季のチームは、『スカパー!ニューイヤー杯』でロアッソ熊本、福岡、鹿島を相手に3連勝。柏との「ちばぎんカップ」でも3-0と快勝し、極めてポジティブなプレシーズンを過ごした。
チームの成熟度を考えれば“総取っ換え”には大きなリスクを伴う。しかし選手個々にとっては、ビッグチャンスでもある。
定位置争いは横一線だ。指揮官にもチームメイトにも先入観はなく、実感を伴って「結果さえ残せばレギュラー確保に近づく」と思える環境はプラスにしか作用しない。もちろん、選手たちは自身が“個”として活きるためには、チームが機能することが必要であると理解しているので、必然的にコミュニケーションの密度は高まる。そこに結果がついてくれば、おのずと士気は高まる。
そうして“総取っ換え”のフレッシュ感をエネルギーに変えることに成功したチームには、近年で最もポジティブな雰囲気が漂った。