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セ・リーグ監督が全員40代に若返り!
高橋、金本、ラミが期待できる根拠。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/10/30 10:30

セ・リーグ監督が全員40代に若返り!高橋、金本、ラミが期待できる根拠。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

長嶋茂雄終身名誉監督に“ウルフ”と呼ばれた高橋由伸が、18年の現役生活に終止符を打った。

チームの停滞がもたらした若い監督の起用

 '04年から中日の監督を8年務め、リーグ優勝4回、日本一1回を達成した落合博満はそれまで中継ぎ専門だった岩瀬仁紀を抑えに定着させ、勝利の方程式を作り上げた。野手では鉄壁の二遊間を形成した荒木雅博、井端弘和のアライバコンビを打線でも1、2番に置き、攻守に理想的な流れをもたらした。

 原が第1期巨人監督の座に就いたのは44歳、岡田の阪神監督就任は47歳(落合の中日監督就任は51歳)。40歳代で最初の監督就任は、若い部類である。今年のラミレス、高橋は彼らより若く、金本の48歳での監督就任も十分若い。今季巨人は4連覇を逃し、阪神は勝率5割に1勝及ばない3位、DeNAは10年連続Bクラスに沈んでいる。そういうチームの停滞が、若い監督を登用する強い動機になっていることを新監督は忘れてほしくない。

 主力がFAやポスティングシステムで移籍することが多いパ・リーグは、セ・リーグ以上に育成・抜擢型の指導者が求められる。日本ハムはヒルマン、梨田、栗山、西武は伊東、渡辺久信、ソフトバンクは秋山幸二、工藤、ロッテはバレンタイン、伊東各氏……等々、Aクラスにいることが多い球団ほど、育成型を監督に据えることが多い。'03年以降、日本シリーズで9勝3敗とセを圧倒する秘密はこのへんにもあるのかもしれない。

育成・抜擢型の監督は成功者が多い。

 歴史を振り返っても、育成・抜擢型の監督は成功している。'56~'58年に日本シリーズ3連覇を達成した西鉄ライオンズの三原脩監督は自らの足で高校生の豊田泰光、中西太、仰木彬、稲尾和久などの逸材をスカウティングし、その後の黄金時代を築いている。巨人の第2期黄金時代を築いた水原茂監督は、南海に1勝3敗と追い詰められた'55年の日本シリーズ第5戦、一軍半の藤尾茂、加倉井実をスターティングメンバーの3、7番に起用、彼らの活躍もあって瀬戸際から3連勝し、2年ぶりの日本一に輝いている。

 弱小球団の監督に就任した西本幸雄も、阪急では福本豊、加藤英司、山田久志などドラフトで獲得した若い選手を中心に据えて黄金時代を作り、近鉄監督時代は佐々木恭介、羽田耕一、梨田昌孝など若手を抜擢して強力打線を構成、強豪球団に作り変えた。

 生涯南海一筋を貫いた鶴岡一人も、テスト上がりの野村克也、広瀬叔功を中心選手に育て上げ、23年間の監督生活でBクラスがわずか2回という強力チームを作った。

【次ページ】 昔の名監督は、なるのもやめるのも早かった。

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