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セ・リーグ監督が全員40代に若返り!
高橋、金本、ラミが期待できる根拠。

posted2015/10/30 10:30

 
セ・リーグ監督が全員40代に若返り!高橋、金本、ラミが期待できる根拠。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

長嶋茂雄終身名誉監督に“ウルフ”と呼ばれた高橋由伸が、18年の現役生活に終止符を打った。

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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NIKKAN SPORTS

 現役時代の印象が色濃く残っている高橋由伸(巨人/41歳)、金本知憲(阪神/48歳)、ラミレス(DeNA/42歳)が新監督に就任したことにより、真中満(ヤクルト/45歳)、緒方孝市(広島/48歳)、谷繁元信(中日/46歳)を加えたセ・リーグの監督全員が40歳代に若返った。

 パ・リーグも楽天の梨田昌孝新監督(63歳)以外は、工藤公康(ソフトバンク/53歳)、栗山英樹(日本ハム/55歳)、伊東勤(ロッテ/54歳)、田邊徳雄(西武/50歳)、福良淳一(オリックス/56歳)が来季50~56歳なので、近年の感覚から言うと相当若い(年齢はいずれも来季の満年齢)。

 たとえば'08年は、野村克也(楽天/73歳)、王貞治(ソフトバンク/68歳)、高田繁(ヤクルト/63歳)、大矢明彦(横浜・現DeNA/61歳)の4氏が60歳以上、'99年はさらに多く、仰木彬(オリックス/64歳)、野村克也(ヤクルト/64歳)、長嶋茂雄(巨人/63歳)、上田利治(日本ハム/62歳)、権藤博(横浜/61歳)の5氏が60歳を越えていた(いずれも当時の年齢)。

 年配を監督に持ってくるのは、主に「安心」を買うためだ。“優勝請負人”というほどの実績がなくても、チームをAクラスにする実績はある、そういう60~70点狙いの人選がこれまで普通に行われ、若い人材の登用を邪魔してきた。言い換えれば「沈滞するチームの空気を変えてほしい」、「代わり映えしないチームに新機軸を打ち出して劇的な変化を遂げてほしい」――そういう強い思いが今回の若手登用の背景にはあると思う。

実績を残した監督が残した印象的な仕事。

 近年、実績を残した監督は例外なく印象的な仕事をしている。阪神時代の岡田彰布は監督就任2年目の'05年にゲーム終盤のリリーフ陣“JFK”( ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之の頭文字を取って命名)を定着させ、また攻撃陣では赤星憲広の1番定着によって得点パターンを確立、その後に続くチームの基本形を作り上げた。

 今年限りで巨人監督を辞任した原辰徳は、高校卒野手の坂本勇人を2年目に抜擢、育成ドラフトで獲得した山口鉄也、松本哲也を3年目に抜擢、新人王獲得に導いている。「常勝を宿命づけられている」という言い訳を用意し、手間のかかる若手育成を怠ってきた歴代の巨人監督に対し、若手の育成と抜擢をしながら'07~'09年、'12~'14年と2度のリーグ3連覇を成し遂げた手腕は近年では出色である。

【次ページ】 チームの停滞がもたらした若い監督の起用

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