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菊花賞の主役はダートからの転向馬!?
キズナに通じるリアファルの対応力。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2015/10/24 08:00
芝転向からルメール騎手に乗り変わり、現在2連勝。リアファルの底はまだ見えていない。
サトノラーゼンは距離が伸びるのは歓迎?
一方ダービー2着のサトノラーゼン(牡、父ディープインパクト、栗東・池江泰寿厩舎)は、京都芝で2戦2勝というコース巧者だ。
秋初戦となった前走のセントライト記念は7着と、デビュー以来初めて馬券圏外の結果となった。折り合いに専念した結果、上手くレースに参加できなかった印象だが、それでも勝ち馬との差はコンマ3秒しかなかった。
スパッと切れる脚がないかわりに、ジリジリと最後まで伸びつづける。こういうタイプは距離が伸びると、終いの確実さが鋭さに転じることがままある。
池江厩舎による2週連続GI制覇があっても驚かない。
ダートから転向の異色のリアファルも怖い。
これらをまとめて負かす可能性があるのが、ダート路線から芝路線に転向した異色の経歴を持つリアファル(牡、父ゼンノロブロイ、栗東・音無秀孝厩舎)だ。
昨年12月のデビューからずっとダートを使われ、今年5月に園田で行われた交流重賞の兵庫チャンピオンシップで2着になるなど、ダート戦線で世代上位の力を見せていた。
ところが2走前、中京芝2000mのマレーシアカップで初めて芝のレースに出ると、古馬相手に楽に逃げ切ってしまった。
重馬場で、1000m通過1分4秒3の超スローに落とした戦術がハマったにしても、鮮やかな勝ちっぷりだった。
それがフロックでなかったことを、次走の神戸新聞杯を逃げ切って証明した。これも1000m通過1分2秒4というスローペースだったが、距離が2400mに延びても、末脚が鈍るどころか逆に鋭くなっていた。後ろから他馬に迫られたら、また脚を使って突き放すという、アイネスフウジンやミホノブルボンといった歴代の強豪逃げ馬を彷彿させる走りを見せた。
芝とダートでは走破時計が何秒も変わってくるのだが、その両方で逃げ切り、同じような強さを発揮した。このように適性に幅のある馬は、どんなことが起きてもきっちり自分の力を出すことができる。