野球クロスロードBACK NUMBER
ホタテ漁からSB「勝利の方程式」へ。
今季ブレーク必至の若手・飯田優也。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/03/26 11:40
今季キャンプ途中には、佐藤義則投手コーチが「ほぼパーフェクトじゃないか。先発で化ければ10勝も狙える」と太鼓判を押していた飯田。
飯田は何よりも投球フォームを優先して投げる。
そんな飯田が徐々に頭角を現したのは、やはり、最大のセールスポイントである「三振が取れる投球」を会得できたからではないだろうか。
ファームでは1年目からローテーションを任され、2年目の2014年にはウエスタン・リーグ開幕から7試合に登板した時点でリーグトップの5勝、防御率1.26をマーク。5月には念願の支配下登録を勝ち取った。
二軍では2年間で115回を投げ117奪三振、一軍でも2勝5敗と負け越しこそしたが、58回1/3で59奪三振と、その奪取数は投球回数を上回るほどである。
だが、飯田からしてみれば三振への執着心はあまりないのだという。
「三振を取ろうと思って取っているわけではなくて。しっかり腕を振って投げている結果、バッターが振ってくれるんだと思います」
奪三振という記録よりも飯田が心掛けていること。それは、体の使い方である。
内角、外角と両サイドを狙って投げることを意識しすぎると、投球フォームのバランスに狂いが生じてしまう。飯田の場合はそれとは逆に、自分の理想のフォームを優先的に考え、形にしていくことで、イメージしたコースにベストなボールを投げられるというのだ。
異常なまでの、マウンド上での強い精神力。
そしてもうひとつ、飯田の成長を語る上で欠かせないのがマウンド捌きである。
いかなる場面でも自分を見失うことなく投げる。その姿勢が一貫しているからこそ、飯田は持ち味を出し続けられるのだ。
「プロに入ってからずっとそうですけど、相手に向かっていくピッチングが自分の持ち味だと思っています。試合になったらバッターとケンカするくらい強い気持ちがないと打たれるんで。ピンチでも、ピンチと思わないようにっていうか、状況を意識せずに自分のピッチングをするようにしています」
三振が取れる。
強い気持ち。
このふたつは、中継ぎとして必要不可欠な資質である。
本来先発の飯田が今年、中継ぎを任されるのには、ソフトバンクのローテーションが潤沢という台所事情ももちろんある。とはいえ、この配置はまさに適材適所と言えるだろう。