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マンUでくすぶるファルカオの苦悩。
「本物」の片鱗と、遠いゴール。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byTomoki Momozono

posted2015/01/25 10:50

マンUでくすぶるファルカオの苦悩。「本物」の片鱗と、遠いゴール。<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

ゴールを決め続けていた数年間の存在感をいまだ取り戻せずにいるファルカオ。両足、そして頭でも決められるストライカーが覚醒するのをマンチェスターのファンは待っている。

シュートに至る動きは今も一級品。

 前半13分に訪れた1度目のチャンスでは、ボレーが相手GKの正面をついた。ペナルティエリア内からのシュートで、コースを見定める時間があったことを考えれば、決められなかったと批判されても仕方はない。但し、シュートに至るまでの動きは全てが一線級だった。

 オフサイドの位置にいたファルカオは、マタが中盤でボールを持って前を向いた瞬間、素早く相手DFの背後からオフサイドぎりぎりの位置まで戻って手を挙げ、マタにアーリークロスというオプションを提供した。再び前に出るタイミングも、シュートに持ち込むためのファーストタッチも完璧だった。

 前半のファルカオには、この場面以外に見るべきところはなかったという指摘もあるが、それはチーム全体も同様だ。見かねたマンUサポーターたちが「アタック! アタック! アタック!」と叫ばずにはいられなかったピッチ上では、チーム最前線へのチャンス供給が乏しかった。

 56分の場面は、至近距離からのシュートを片手セーブで弾き出したロバート・グリーンの反射神経を褒めるべきだろう。やはり際どくオフサイドを避けてディマリアのクロスに反応したファルカオは、前に軽く身を投げるようにしながら、頭で綺麗にボールをミートしていた。その20分後の3度目のチャンスも、リプレイで確認してみれば、相手DFスティーブン・コーカーの足が僅かにボールに触れていた。グラウンダーのクロスに走り込んだファルカオが合わせる直前、コーカーのつま先に当たってボールのコースと勢いが微妙に変わったことによる空振りだったのだ。

シュート精度はファンペルシをも凌ぐ。

 ファルカオは、マンUが3-5-2システムで中盤でのポゼッションに終始していただけの前半も、4-4-2へと陣形を変えて攻撃面が改善された後半も、フィニッシュを除く99%はセンターFWとしての仕事ができていた。

 チームとしての出来が良くなかった一戦でも、ハットトリックに迫ったのだ。この日の3本を含め、7割近い確率で枠を捉えるシュートの精度は、エース格のファンペルシをも凌ぐチームFW陣トップ。前向きな材料を探せば、リーグ戦でファルカオの3アシストを上回っているマンU選手は、ディマリア(6)とルーニー(4)しかいないという事実もある。

【次ページ】 「本物」の片鱗は見せつつある。

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