プレミアリーグの時間BACK NUMBER
マンUでくすぶるファルカオの苦悩。
「本物」の片鱗と、遠いゴール。
posted2015/01/25 10:50
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Tomoki Momozono
後半戦に突入した1月のプレミアリーグでは、序盤戦で過去最悪の滑り出しと言われたマンチェスター・ユナイテッドがトップ4争いに参戦している。さすがに、首位を争うチェルシーとマンチェスター・シティと優勝を争うまでの巻き返しを見せることは難しいだろう。しかし、昨夏の移籍市場に総額270億円以上を投じたクラブは、大型補強を敢行した最大の狙いであるCL復帰を射程圏内に捉えている。
最高額の新戦力は、6000万ポンド(約108億円)近い移籍金を必要としたアンヘル・ディマリア。だが、最大の注目と期待が寄せられたのは、1年間のレンタルで獲得したラダメル・ファルカオだった。過去4、5年間“世界最高のゴールゲッター”とも言うべき存在だったのだから当然の反応だ。コロンビア代表FWは、ポルトで82試合出場72得点、続くアトレティコ・マドリーでも91試合で70得点と、ハイペースでゴールを重ねてきた。
昨季後半、モナコで負った怪我で膝にメスを入れているというリスクはあった。昨夏のW杯も欠場を余儀なくされていた。しかし、今季開幕3試合で2得点というマンU入り直前の数字は、長期欠場後の体にまだキレはなくても、ゴール前での感覚は鈍ってないと想像させた。
移籍後には、ルイス・ファンハール監督が「ファルカオの方が上だ」と公言し、早々にウェイン・ルーニーをFWではなく攻撃的MFとして起用するようにもなった。
「リーグ戦3得点のみ」の文字が目立つ国内紙。
マンUでの初先発は、昨年9月21日のレスター戦(3-5)。チームとしては守備の崩壊が問題視された一戦だが、ファルカオ自身は、マークを振り切ってからのクロスでロビン・ファンペルシの先制点をお膳立てしていた。バーを叩く不運がなければ、ルーニーのパスから放ったシュートで初ゴールも記録できていた。翌月5日のエバートン戦(2-1)で、実際にマンUでの初得点を上げる頃には、4400万ポンド(80億円弱)とも言われる買取り額での完全移籍に向けて、前倒しで交渉を始めるべきだとの声が巷で高まることになった。
ところが、それから3カ月を経た現在、マンUでのファルカオの将来は微妙なままだ。むしろどちらかと言えば「今季限り」とする見方が強まっている。国内紙の記事には「リーグ戦3得点のみ」という記述が目立つ。