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マンUでくすぶるファルカオの苦悩。
「本物」の片鱗と、遠いゴール。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byTomoki Momozono

posted2015/01/25 10:50

マンUでくすぶるファルカオの苦悩。「本物」の片鱗と、遠いゴール。<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

ゴールを決め続けていた数年間の存在感をいまだ取り戻せずにいるファルカオ。両足、そして頭でも決められるストライカーが覚醒するのをマンチェスターのファンは待っている。

サウサンプトン戦では、ついにベンチ外に。

 たしかに、1週間で約4800万円の計算になる破格の年俸をもらっているFWとしては、期待はずれ以外の何物でもない数字だ。出場試合数も、去る1月17日の第22節QPR戦(2-0)終了時点で13試合にとどまっているのだが、この背景には、まだ試合後のリカバリーに時間を要したと言われる膝の状態と、ふくらはぎの怪我という理由があった。ファンハールは辛抱強くコンディション回復を待っていると思われ、年明け前には「ほぼ100%」というファルカオ自身の発言もあった。

 しかし、新年初の上位対決となったサウサンプトン戦(0-1)で、ファルカオの姿はベンチにもなかった。指揮官は「獲得コストが9500万ポンドの選手であれ、5000ポンドの選手であれ、実力で試合への出場権を勝ち取ってもらうしかない。シーズンが終わったわけではないのだから、まだ(アピールの)機会はある」と、試合後に説明している。メンバー漏れは、期待の高さ故の愛の鞭でもなければ、期待を裏切った者への怒りの鞭でもない。現実主義者的のファンハールらしい発言だ。

ピッチ上で披露されたファルカオの「NG集」。

 だが「9500万ポンド」タイプの大物に厳しいメディアでは、ファンハールに見切りをつけられたことを意味するベンチ外だと受け取られた。続くQPR戦では「5000ポンド」タイプのユース出身FWジェイムズ・ウィルソンがゴールを決めたこともあり、ファルカオへの向かい風が強まった。ファンペルシの負傷欠場でスタメンに返り咲いたものの、決定的チャンスを3度も逃して「アピールに失敗した」と書き立てられたのだ。

『デイリー・メール』紙のレポートによれば、フアン・マタとディマリアによる極上のクロスを無駄にし、ダレイ・ブリントの折り返しを見事に空振り。ファルカオの「NG集」がピッチ上で披露されたことになる。

 しかしながら「プレミアリーグ随一の高給取り」ではなく、「大怪我を乗り越えたプレミア1年目」のFWとしてファルカオを眺めれば、本領発揮は時間の問題と思わせるQPR戦での先発フル出場だったのではないだろうか?

【次ページ】 シュートに至る動きは今も一級品。

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