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青学大の“三代目山の神”誕生秘話。
神野大地と原監督が出会った5年前。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byNanae Suzuki
posted2015/01/05 11:10
最優秀選手として金栗四三杯を受賞した神野大地。「大地」という名前は、ソウル五輪の時に背泳ぎで金メダルを獲得した鈴木大地から父親が命名した。
青学大の優勝、最大の要因はリクルーティング。
青学大の優勝を受け、メディアではいろいろな勝因が報じられている。
体幹トレーニング、水風呂、マネージメント――。
しかし、いちばん大切なものが欠落している。
リクルーティングだ。
勇退が決まっている早稲田大の渡辺康幸監督は、箱根で勝つ要素として、次のようなことを挙げている。
「昔はそれなりのリクルーティングと、育成力で勝てたと思うんですが、今はマネージメント力、そして組織作りが求められる時代になりました」
今年の箱根駅伝では、各大学の監督たちが「本当にリクルーティングが重要になってきました」とため息交じりに話す姿が印象的だった。
入学時点から、圧倒的に速かった青学の3年生世代。
今回の青学大の成功は、すでに2012年の時点で約束されていた。現在の3年生が大学に入学した時点での5000m平均タイムを算出すると、青学大は他校に比べて圧倒的に速かったからだ。
今回走ったメンバーの中で該当するのは以下の5人。
久保田和真(九州学院)
渡邉利典(東北)
神野大地(中京大中京)
村井駿(西武台千葉)
小椋裕介(札幌山の手)
特に久保田と小椋の実績は図抜けており、実はこの他にも三大駅伝の出場経験を持つ渡邉心(世羅)、山村隼(九州学院)もおり、選手層が分厚くなるのは見えていた。私はその時点で「4年後は青学」との予想を立てた。