サムライブルーの原材料BACK NUMBER
内田、闘莉王、三浦淳が心情を吐露。
日本代表、ミーティングの歴史とは。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJMPA
posted2014/12/22 10:40
日本代表の頼れるキャプテン、長谷部誠。内田篤人が無人島に連れて行きたい人を聞かれて「大工、漁師、長谷部」と応えたエピソードは有名。
長谷部、権田らが次々と胸のうちを吐露。
筆者は先月、ブラジルW杯を振り返る企画で青山敏弘を訪ねた。チームをサポートしながらも、常に試合に出る準備を整え、3戦目のコロンビア戦で先発の座を射止めている。彼は「ウッチーの言葉が大きかった」と語った。
「(控えの立場であっても)自分たちは常に戦う姿勢を持つことができたし、モチベーションが落ちることはまったくなかった」
試合翌日、ゲームに出たメンバーはクールダウンのメニューが組まれるが、控え組はみっちりトレーニングを行なう。青山をはじめ彼らの熱のこもった練習は、逆に先発メンバーを刺激していた。内田の一言が、控えにいる選手たちの心に火をつけていたのだ。
このミーティングでは内田以外にも、それぞれの正直な思いが飛び出している。
長谷部は「自己犠牲心」の必要性を訴え、権田修一は「自分は4年間で1試合しか出てないけど、心の底から勝ってほしいと思っている」と胸のうちを語ったそうだ。
「今まで一緒に戦ってきた仲間のなかで、ここに入れなかった選手もいる。それを背負えとは言えないけど、その人たちのことも考えてプレーすべきだと思う」とは吉田麻也。誰もが自分の言葉で、自分が思っていることを正直に伝えている。真剣に自分と向き合い、真剣にチームと向き合う。そして何よりも一人ひとりの言葉を受け入れられる土壌がこのチームにはあった。
もしコートジボワールに勝利して勢いづいていれば、きっとこの日の夜のことが「イトゥの夜」として、メディアに大きく取り上げられたに違いない。
南アW杯前にチームを鼓舞した闘莉王の言葉。
選手同士の、心に響きあう言葉。
4年前の南アフリカW杯でも、選手ミーティングが大きな効果をもたらしたことは記憶に新しい。
壮行試合の韓国戦に敗れるなどチームに重い空気が流れていた状況で、動いたのはチームキャプテンの川口能活だった。事前合宿地のスイス・ザースフェーで選手たちを集めて、意見を求めたのだ。田中マルクス闘莉王の「俺たちは下手くそなんだから、下手なりのサッカーをやるべきだ」との言葉に、心を動かされる選手が多かったという。